頭痛について

一般的に「頭痛持ち」と呼ばれる場合の頭痛は、同じような頭痛が繰り返し起きることから「慢性頭痛」といわれ、その代表的なタイプとして「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」があります。

 

この3つのタイプいずれの場合でも首、肩の凝りが強く関わっているので、鍼治療の適応になります。

慢性頭痛の治療回数の目安は、原因の筋肉にしっかり鍼を入れられれば、3回~5回です。重症で普通の鍼が入らないような場合ですと6回~10回ほどかかる場合があります。

 


頭痛の中には、注意しなければいけないものがあります。下記のような症状をはじめ、いつもと違う激しい頭痛が起こったら脳卒中(脳出血・脳梗塞)や外傷による硬膜下血腫、脳腫瘍、脳動脈解離など重大な病気が疑われます。

・突然起こった、激しい頭痛
・頭痛に加え、発熱が続く
・麻痺、しびれをともなう頭痛
・頭部打撲後に出始めた頭痛
・片方の目が見えない、物が二重に見える、視野の半分が欠ける。
・歩行時にふらつく、ろれつが回らない

上記のような場合には、すぐに医師の診断を受けてください。

 

 

【慢性頭痛の症状と原因】

①緊張型頭痛

慢性頭痛の約70パーセントが緊張性頭痛といわれています。

 
症状は、首の後ろから後頭部にかけて鈍痛や、圧迫感、頭重感、締め付けられた感じがあります。時には目の奥や、頭に輪っかをはめれらた様に側頭部、前頭部の方にも症状が現れます。
 
原因は後頚部の筋肉の緊張です。
緊張した筋肉が頭へ行く血管や神経を圧迫しておこります。また、後頚部の筋肉の緊張が前頭後頭筋に影響して、広い範囲に症状を出します。

 下の画像では、表層にある僧帽筋、頚板状筋、頭板状筋、肩甲挙筋、胸鎖乳突筋を除いていますが、これらの筋肉も凝りやすい筋肉です。これらの筋肉は表層にあるので、軽症ならマッサージや浅い鍼などでも症状を軽減することが出来ますが、重症や長患いの場合は表層筋とともに深層筋のコリも緩めなければ、満足できる効果は実感できないでしょう。

頭の方へ行く神経は、上位後頚部から出ます。
具体的には大後頭神経が第2頚神経から、またその下から第三後頭神経が第3頚神経からでて下頭斜筋の下縁を通って頭の方へ上るように走り後頭部に分布します。またこれらのやや外側のあたりに第2,3頚神経から小後頭神経がこれも頭の方へ上に走っています。

そして、この後頚部というのは日常的に負担のかかりやすい部分です。

デスクワークや家事などで、手元を見る姿勢の時に頭が前に倒れすぎないように位置を保っています。

 
頭痛の施術で重要となる後頭下筋群(大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋)は頭蓋骨と上部頚椎の間に位置します。
小さな筋肉ですが、頭が少し傾いても目線を水平に保つように頚をわずかに動かしたり、マウスカーソルを目で追う時に活動する様なとても繊細な働きをします。

 
後頭下筋群が緊張すると、後頭部と後頸部の境目がコリますが、コリが深部につくられると感覚が奥の方になり、目の奥がコルように感じる事があります。
 
上部の頚椎からは頭の方へ、中部や下部の頚椎からは頚、肩、手の方へ神経が出ていますので、首の上から下まで負担がかかれば頭から手まで症状がでる場合があります。


そのため頭痛持ちの方は頚こり、肩こりも併発している方がほとんどです。
また、首は延髄から内臓の働きを司る迷走神経が走行し、交感神経幹も位置するので、首こり・肩こり酷い時に吐き気や気分が悪いといった自律神経症状がおきる場合も珍しくありません。

 

当院の深層筋治療では、頭へ行く大後頭神経、第三後頭神経、小後頭神経、耳介側頭神経を締め付ける筋肉を鍼で緩め、凝り感と頭痛の症状をとることができます。ツボでいうと天柱、風池、完骨に相当します。


セルフケアとしては、ここを温めたり、指などで押してやればいいのですが、神経が通っているのは体表から成人で3~4cm程の深さになるので、マッサージでは圧が伝わらずほぐれにくく、一時は症状が治まってもすぐに再発します。

当院の深層筋治療は、凝り固まって、緊張性頭痛の原因となっている深部の筋肉に、直接アプローチできるので、断然効果的です。

 

 

②片頭痛

主にこめかみから目のあたりがズキンズキンと発作的に痛み、痛みの発作は4時間~数日間続きます。
発作が起きる前に閃輝暗点と言って光が見える場合もあります。

痛みは片側に現れることが多いですが、左右入れ替わったり、両側から痛むこともあり、動くと痛みが強まる事が多く、生活に支障をきたします。
20~40代女性に起こりやすい頭痛で女性ホルモンとの関連もありますが、男性にも起こります。

片頭痛は、様々な要因で頭部の血管が異常に拡張し、神経が刺激されることで起こります。

片頭痛を引き起こす要因としては、光や音、におい、気圧、食べ物、タバコやアルコール、寝不足、寝すぎ、疲労、空腹、片頭痛を誘発する食品、女性であれば生理周期、などが挙げられます。

 

当院では、片頭痛の根本の原因は、頚部、肩、頭部の筋肉の緊張と考えて治療します。

首・肩・頭の筋肉の凝りが強くなると、血管が筋肉に圧迫され血管が収縮した状態になります。それが何らかの原因で血流量がいきなり増え、血管が異常に拡張し、ズキンズキンとした拍動性の片頭痛となります。

治療方法は頚部・肩・頭部の筋肉の凝りを解くことです。筋肉が柔らかくなり血管が圧迫されなくなれば、異常な血管の収縮は無くなり、結果として異常な血管の拡張は起きなくなります。

 

【群発頭痛】

群発頭痛は、「目がえぐられるような」「きりで刺されるような」と表現されるように、耐えられないほどの痛みだといわれています。あまりの痛みにじっとしていることができず、痛みを紛らわせるために動き回らずにはいられない、痛みのあまり頭を壁に打ちつけるという人もあるようです。

必ず片側で、痛みと同じ側の目の充血、涙、鼻水・鼻づまり、額の発汗などの自律神経症状があらわれます。

群発頭痛は、群発地震のように、ある期間に集中して頭痛が起こるところからつけられました。

女性に多くみられる片頭痛に対し、群発頭痛は20~40歳代の男性に多く、女性の3倍にのぼるともいわれます。

また、群発頭痛はアルコールが誘発因子となり、群発期に飲酒すると、ほぼ必ず発作が起こるといわれています。それ以外にも狭心症の治療薬であるニトログリセリンなども誘因になるといわれています。

 

群発頭痛が起きるメカニズムについては、まだ明らかにされていない点が多いのですが、自律神経を司る視床下部の異常や、目の奥を走っている太い血管(内頸動脈)の拡張と周囲の炎症が関係していると考えられています。

当院では、片頭痛と同じく、頚部の深部の血管の異常な収縮と拡張による頭痛と考え、深層筋に刺鍼し、筋肉の収縮を改善し、血管の異常な収縮と拡張が起きないようにします。