股関節・臀部の痛みについて

股関節痛・殿部痛の原因と症状

ここでは、当院での鍼治療の対象となる、筋肉と軟部組織由来の症状について書いていきます。

股関節痛、殿部痛の原因となる筋肉は大・中・小殿筋や梨状筋・腸骨筋が挙げられます。

小殿筋が悪いと、太ももの外側が痛む場合もあります。

骨盤の前面にある腸骨筋が緊張すると鼠径部に痛みが出ます。
それに伴い大腿神経や閉鎖神経が圧迫されると、太ももの内側や前面、膝にまで痛みが出る事もあります。

また、グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)と呼ばれるサッカー選手に多い鼠径部周囲の痛みの場合は恥骨筋、内転筋群、腹筋群、大腰筋、中間広筋なども関わってきます。
 

上記の筋肉が痛みの原因になるには、運動不足(デスクワーク、運転など長時間同じ姿勢の維持)や反対に体の酷使(肉体労働やスポーツ)、転倒などの外傷や事故後の後遺症が多いです。

 それに加えて股関節の場合は先天性の股関節脱臼や臼蓋形成不全という骨・関節自体の組織の問題が背景にある事もあります。
 
また腰痛持ちの方は中小殿筋、特に小殿筋が硬く緊張している事が多くみられます。

上記のような原因により股関節周囲の筋緊張があると以下のような症状があります。

・座っている時や靴下を履く時に足を挙げると痛む。

胡座(あぐら)が痛くてかけない、またはかけても膝が床につけない。

・歩行時痛があり痛みが強いと跛行(かばって歩く)がある。

・ももの付け根が詰まるような感覚がある

・ももを上げづらい

 

 

上記のような症状があり、股関節周囲の筋肉が緊張し続けていると、股関節には下記のような変化が起こる事が考えられます。

 

 

・骨棘ができて骨が変形する。(変形性股関節症)

・関節の隙間(関節裂隙)が狭くなり、動く際に骨を覆う軟骨がぶつかり、動きが悪くなったり、中で当たっている感覚や音がする。

・軟骨が摩耗し、酷使した場合は炎症を起こし関節液が貯まる。

・最終的には軟骨が消失し、骨が露出する。

 

このような関節の変形・狭小が起こったり、炎症が起きたりするには、かなりの長い年月を要するか、またはかなりの強度の酷使があった場合です。
その過程で関節周囲の筋肉の緊張が継続して悪化した結果だということです。
 
骨(大腿骨頭骨)が露出する所までくると鍼で筋肉を緩めてもどうにもならず手術の適応となってしまいます。


そうなる前に鍼で股関節周囲の筋肉を緩めたり、股関節周囲の靭帯の癒着を解き、柔軟性を取り戻すべきでしょう。

 

 

【股関節痛・殿部痛の鍼施術】

中殿筋と小殿筋への刺鍼がメインとなり、鼠径部、大腿部の痛みがある場合は腸骨筋・大腿四頭筋などに横向きの姿勢か仰向けで刺鍼し、

症状によって恥骨筋、内転筋群、腹筋群、大腰筋、中間広筋への刺鍼を行います。

 

股関節痛の治療。小殿筋・中殿筋・腸骨筋・鼠径部の押圧痛のある部分に刺鍼
仰臥位での腸骨筋への刺鍼


小臀筋は、その奥の関節包、靭帯が癒着し撚鍼(鍼を捻りながら刺入)しないと入りません。9㎝から12㎝の鍼を使用します。
また、腸骨筋も凝りが悪化している場合は非常に硬くなることが多い筋肉です。こちらも10~12㎝の鍼を使用します。

 

股関節の深層筋の治療は他の部位に比べて筋肉の固まり方が強くなっている事が多く、治療回数もそれだけ多くかかります。目安としては10~20回、骨の変形まである人はそれ以上にかかります。

身体の奥深くに位置する小殿筋や腸骨筋が、長期に緊張し、凝り固まって線維化した場合は、ストレッチや電気治療、マッサージや浅い鍼等では解れる事はないので、治療の回数はかかっても、手術が回避できる方法としては唯一ではないかと考えています。