膝の痛みについて

当院の鍼灸の適応症となる膝の痛みは筋肉や軟部組織によるものです。

以下のように適応・不適応が分類されます。

〇適応になる疾患

→変形性膝関節症(軟骨に問題が無いオスグッド・シュラッター病、ジャンパー膝、ランナー膝、内外側側副靭帯損傷
 

△適応になる場合とならない場合がある疾患

→変形性膝関節症(軟骨に摩耗があるもの)三回ほどの治療で判ります。

 

×不適応な疾患
 
→変形性膝関節症(軟骨がひび割れしたり、遊離体がある)、前後十字靭帯損傷、半月板損傷

 

 

【変形性膝関節症の原因】

原因は下肢の筋肉が緊張し萎縮、また膝周囲の軟部組織の損傷によるものです。
膝関節は、下肢の筋肉の多くが集まって構成されており、それらの筋肉に異常な緊張があったり、軟部組織を傷めると膝が痛むという特徴があります。
 
では下肢の筋肉が緊張したり萎縮するのはなぜでしょうか。
よく言われているのが加齢によるものです。
 
それも一つですが、大腰筋や中小殿筋、腸骨筋など腰・股関節の強い深層筋が緊張し、下肢の筋肉を司る神経が絞めつけられることで下肢の筋肉が緊張、萎縮すると考えています。
 
実際、変形性膝関節症の患者さんには、腰殿部痛を併発していたり、過去に痛めていた事がある方が非常に多いのです。
 
筋肉が緊張すると痛みや運動障害がおきますし、進行すれば可動域が制限され、腰、首、同様骨棘ができて関節が変形します。
 
そして緊張すると筋肉が短縮します。
それによって関節が圧迫され狭くなり、軟骨同士が当たって摩耗に繋がります。軟骨がすり減るという状況です。

そして炎症が起き関節液を貯留させ摩耗を防ごうとします。膝に水が溜まるという状態です。これを整形外科で度々抜いたことがあるという患者さんも多く来院されます。

 
また筋力不足や腰が曲がった様な不良姿勢により、足を踵からドスッ、ドスッと突くような歩行になると、膝に衝撃が強く伝わり、軟骨のひび割れに繋がります。

 

【膝痛の鍼灸治療】

①膝の前面が痛む場合

まず膝蓋腱を指圧し痛みがある場合、ジャンパー膝とも呼ばれる大腿四頭筋腱付着部炎、もしくは膝蓋腱炎です。患部と大腿四頭筋(特に深層にある中間広筋)に鍼をします。

膝蓋腱の両脇、ツボでいうと膝眼を押して痛む場合は膝蓋下脂肪体炎の可能性が高いです。膝蓋骨(膝の皿)の下縁から脂肪体へ鍼をします。

膝蓋骨の上から大腿部を指圧して痛む場合は中間広筋にも鍼をします。オスグット病と呼ばれる脛骨粗面に痛みが出る場合も中間広筋と膝蓋腱、前脛骨筋まで押圧痛がないか確認し、刺鍼します。

②膝の後面が痛む場合

膝窩筋と足底筋という、膝関節の後ろ側のインナーマッスルが原因のことが多いです。

厚みのある下腿と大腿の筋肉の深層にある筋肉で、凝り固まって伸び縮みが出来なくなっていると、膝の曲げ伸ばしで痛みが出ます。

それに加えて膝窩(膝の関節の後ろ側)から上の大腿部の後ろと、ふくらはぎを良く指圧して痛みの有無を調べます。可能性のある筋肉としては大腿二頭筋(ハムストリングス)、鵞足三筋(半腱様筋、薄筋、縫工筋)、下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)です。

これらの筋肉は、体積が大きいものが多く、深部が凝り固まり線維化していることがよくあります。この場合はストレッチやテーピング、マッサージや浅い鍼では症状は取れません。

また、深い鍼をするにしても痛い部分だけではなく、出来るだけ起始から停止まで鍼をします。特に筋肉の付着部となる坐骨結節周囲や膝関節の後面周囲はかなり筋肉が固くなるので多めに鍼をすることで

指圧では探しきれない深部の筋肉の硬結を改善する確率が高くなり、効果が高く長く続きます。

 

③【膝の側面が痛む場合】

内側の場合は、内側側副靭帯の損傷、内転筋群、鵞足部、大腿四頭筋の内側広筋を調べて刺鍼します。

外側ですと外側側副靭帯の損傷、大腿四頭筋の外側広筋、ランナー膝とも呼ばれる腸脛靭帯炎などがあります。最も押圧痛のある部位を確認し、刺鍼します。

靭帯の損傷や炎症がある場合、その部分に密に刺鍼し、関連する大腿部の筋肉にも鍼をします。そうすることで靭帯の回復が早まり、治療を数回繰り返すことで治癒していきます。

④【上記の治療をしても治っていかない場合】

上記のように膝の痛みのある患部の筋肉や、関連する筋肉に治療をしても、段階的に治っていかない場合(2,3日痛みが軽くても元に戻る場合)腰と股関節の治療が必要になります。腰と股関節の凝りの強い筋肉が、下肢に行く神経を締め付けて、膝の周囲の筋肉に痛みを出す事があるためです。

この場合重要な筋肉として、大腰筋、腸骨筋、中殿筋、小殿筋が挙げられます。これらの筋肉も深部にあり、手つかずの強い凝りになっていることが多いですが、適切に刺鍼することで緊張が緩み、下肢へ行く神経の圧迫が取れれば膝の痛みも軽快していきます。