むち打ちは、正式な病名を外傷性頸部症候群、あるいは頸椎捻挫、頸部挫傷と呼びます。
交通事故やスポーツなどのアクシデントで、強い衝撃が首にかかることによって生じます。
脱力していたところに突然の強い外力が加わることで、首を支えきれず、首が可動域限界かそれ以上に倒されてしまい、関節間を支える小さな筋肉や靭帯が引き伸ばされ傷ついてしまいます。
首には大きな筋肉と小さな筋肉があり、大きな筋肉(アウターマッスル)は体表に近く、首の曲げ伸ばし回旋、肩甲骨を動かして肩の動きをサポートしたりします。
小さい筋肉(インナーマッスル)は姿勢を維持するための筋肉といえます。背骨を一つづつ繋ぐように存在していて、首や頭部、背骨の小さな動きに関係してちょっとした動作や姿勢のバランスなどに影響します。
ムチウチ症では小さな筋肉(インナーマッスル)を損傷しますので、起きている間はずっと痛みます。寝ていても枕の高さを調整しないと痛むでしょう。
さらに少しでも頸を動かした際にも痛み、その影響を受けた周囲の筋肉が緊張し、神経を締め付けると頭痛や手の痺れ、めまいなどが起こることがあります。
また、損傷部位が深層にある小さな筋肉であることが多いため、マッサージや表層のみへの刺激ではなかなか改善がみられなかったり、かなりの時間がかかってしまうことがあります。
ムチウチ・頸椎症の鍼治療
当院のムチウチ・頚椎症の治療回数の目安は、事故の程度や衝撃の強さによりますが、軽症なら3~5回、重症ですと6回~10回です。
交通事故やスポーツなどで頭頚部を強く打った場合はまずは病院へ行き脳の検査を受けてください。
痛みがあれば悪化させないように固定します。(頸部は可動域が広く頭部が重い為に、姿勢や体勢でかなり頸が動きます。初期は出来るだけ首が動かないように固定して様子をみましょう。
痛みが無くても受傷後数時間~数日がたってから痛み始めることもあります。注意深く経過をみることが大切です。
検査で脳脊髄に問題がなければ頸を装具で固定して安定を図り、その後患部の治療に入ります。
整形外科では椎間関節の炎症や椎間板、神経根症状によつ痛みや痺れを改善するために痛み止めの内服薬や湿布、神経ブロック注射などがおこなわれます。
病院によっては低周波や干渉波による筋肉に対しての治療も行います。ただしこれらの電気治療器は表層の大きな筋肉(アウターマッスル)には効果がありますが、インナーマッスルにはあまり効果がありません。
ムチウチ症でまず痛めるの小さな筋肉(インナーマッスル)です。インナーマッスルを効率的に改善させるには、直接インナーマッスルに刺鍼するのが最も効率的です。
北京堂鍼灸で行う鍼施術は、画像のように首背部に刺鍼します。
ムチウチで痛めるのは僧帽筋のような大きな表層の筋肉より、半棘筋や多裂筋などの骨に近く深層にある筋肉です。側面では斜角筋や最長筋などが痛めやすい筋肉です。ただし、症状が重い場合や、事故の衝撃が大きかったり、痛い期間が長く経過していると、表層の大きな筋肉にまで影響し緊張が強くなります。
動かすと痛む場所、圧痛のある場所をよく確認し、その位置を中心に刺鍼します。頭痛があれば半棘筋や板状筋、腕に痺れや痛み違和感があれば斜角筋、首の根元に痛みがあれば肩甲挙筋などに刺鍼します。
上記のように治療しても症状が改善しない場合は、関連する筋肉を調べて刺鍼します。肩から腕の筋肉、頭部、背部、顎関節などがよくあるパターンです。
首と肩に関連する部位に、過去に大きな怪我や事故、手術跡、原因不明の強い凝りがあったりします。
首と肩がとても辛い時には、何年も前の古傷の事は忘れてしまうことが良くあります。このような古い筋肉の凝りをしっかり治療してくと改善することが多いです。
鍼施術は痛みが強いときは週2回ぐらいで、普段の生活ができるようなら周1のペースで良いでしょう。