「湿布を貼っても、しばらくすると戻ってくる」 「病院で注射を打ったら楽になったけど、また痛くなった」 「使いすぎないようにしてるつもりなのに、なぜか悪化する」
腱鞘炎でお悩みの方から、こういう話をよく聞きます。
スマホの操作、パソコン仕事、赤ちゃんの抱っこ、スポーツの練習。
現代人の手は、毎日信じられないほどの負荷にさらされています。
でも腱鞘炎が繰り返す本当の理由は、「使いすぎ」だけじゃない。
今日はその話をします。
腱鞘炎とは何か
腱(けん)は、筋肉と骨をつなぐ繊維の束です。
この腱を包んでいるのが腱鞘(けんしょう)。ちょうど腱のトンネルのような役割をしています。
腱鞘炎は、腱と腱鞘の間で摩擦が繰り返されて炎症が起きた状態です。
手首・指によく起きるのが次の2種類。
ドケルバン腱鞘炎(狭窄性腱鞘炎)
手首の親指側に痛みが出る腱鞘炎です。
長母指外転筋と短母指伸筋という2本の腱が、手首の出っ張り(橈骨茎状突起)のところで圧迫・摩擦されて炎症が起きます。
親指を開いたり動かしたりすると痛い。手首をひねると激痛が走る。タオルが絞れない。赤ちゃんを抱き上げようとすると手首が痛む——こういった症状が特徴です。
育児中のお母さん・お父さんに多いのは、片手で赤ちゃんを支える動作が、この腱に大きな負荷をかけるからです。スマホを片手で持ってスクロールする姿勢も、同じ腱を酷使します。
ばね指(弾発指)
指を曲げると「カクッ」と引っかかる、あの症状です。
指の屈筋腱(曲げる腱)が腱鞘の入口で引っかかって、スムーズに動かなくなります。ひどくなると指が動かなくなったり、無理やり伸ばすと激痛が走ることも。
PC作業でマウスをクリックし続ける方、ゴルフやテニスなどグリップを多用するスポーツ選手、手をよく使う職種の方に多く見られます。
なぜ繰り返すのか ── 本当の原因は「前腕の奥」にある
湿布や注射で一時的に炎症を抑えても、すぐ再発してしまう。
その理由は、腱に負荷をかけている筋肉の緊張が残ったままだからです。
手首や指を動かす筋肉は、実は前腕の奥深くから始まっています。
- 深指屈筋(指を深く曲げる筋肉)
- 浅指屈筋(指の第二関節を曲げる筋肉)
- 長母指屈筋(親指を曲げる筋肉)
- 橈側手根屈筋(手首を曲げる・内側に傾ける筋肉)
これらが前腕の奥でガチガチに固まっていると、腱はずっと引っ張られ続けます。
腱鞘のトンネルの中で腱が常に張った状態になるから、少し動かすだけで摩擦が起き、炎症が繰り返す。
炎症を抑えることも大切ですが、この「前腕の深層筋の緊張」を取らない限り、腱鞘炎は何度でも戻ってきます。
深層筋鍼治療でのアプローチ
当院では、腱鞘炎に対して以下のようにアプローチします。
前腕の深層筋への直接刺鍼
表面からマッサージしても届かない、前腕の深い層にある筋肉に対して、長い鍼を刺入します。
深指屈筋・浅指屈筋・長母指屈筋——これらに直接刺激を入れることで、筋肉の過緊張が解放されます。
鍼を抜いた後、手を開いたり閉じたりすると「あ、動きが変わった」と感じる方が多いです。
これが、腱への負荷を根本から下げることにつながります。
手首・指の腱鞘周辺へのアプローチ
炎症が強い部位の周辺にも、鍼で局所の血流を促します。
血流が改善されると、炎症物質が流れやすくなり、修復が進みやすくなります。
注射と違って繰り返し施術ができるため、段階的に症状を改善していくことができます。
頭部・表情筋も含めた全体の緊張解放
意外に思われるかもしれませんが、手の使いすぎで腱鞘炎になっている方は、首・肩・顔の筋肉も同時に固まっていることがほとんどです。
PC作業で前傾みになりながら画面を見続けると、側頭筋(こめかみ)や咬筋(顎)まで緊張します。体全体で力んでいる状態です。
頚部深層筋・後頭下筋群・表情筋まで含めて緩めることで、全身の緊張の連鎖を断ち切り、手への負荷が減っていきます。
腱鞘炎は「手だけの問題」ではありません。体全体で診ることが大切です。



こんな方に来てほしい
- 湿布や市販薬で対処してきたが、ずっと繰り返している
- 注射を打ったが、数か月後に再発した
- 仕事や育児があって、安静にしていられない
- 手術は避けたい
- スポーツを続けながら改善したい
「使わなければ治る」とわかっていても、使わないわけにはいかない——それが現実だと思います。
だからこそ、筋肉の緊張を取りながら、使い続けながら改善していくアプローチが必要です。
施術を受けた方の声(一例)
産後8か月の女性。赤ちゃんを抱き上げるたびに手首が激痛で、「毎日泣きながら育児してた」とおっしゃっていました。
前腕の深層筋と手首周辺を中心に施術。3回目あたりから「抱っこが少し楽になってきた」と。
6回目には「ほぼ痛みがなくなった。もっと早く来ればよかった」という言葉をいただきました。
完全に使わないことはできない状況でも、改善できる。
それを体感できた瞬間でした。
まとめ
腱鞘炎が繰り返す理由は、前腕の深層筋の緊張が解消されていないからです。
深層筋に直接アプローチする鍼治療は、炎症だけでなく「なぜ炎症が起きるのか」という根っこを変えていきます。
手のしびれや痛みで日常が制限されているなら、一度ご相談ください。
一緒に、使える手を取り戻しましょう。
北京堂鍼灸首里いじゅ治療院 沖縄県那覇市首里
※症状が重い場合や、骨折・腱断裂が疑われる場合は整形外科での診断を先にお受けください。当院は整形外科的処置の後の機能回復にも対応しています。