「また始まった…」月に何度も偏頭痛に襲われていた方が、深層筋鍼治療と出会うまでの話
北京堂鍼灸首里いじゅ治療院(那覇市首里)の伊集です。鍼灸師歴18年、これまで3万5000回を超える施術をしてきましたが、その中でも「頭痛」、特に偏頭痛で悩んでいる方の表情は、どこか共通しています。痛みが出ていないときも「また来るかもしれない」という不安をずっと抱えている——そんな空気をまとっているのです。今日は、実際に多く見られるケースをもとに、ある患者さんの来院から変化までの流れをお話ししたいと思います(プライバシー保護のため、複数の事例を組み合わせた一例としてご紹介します)。
来院前:薬を手放せない毎日
その方は那覇市内でデスクワークをされている40代の女性でした。月に4〜5回、こめかみから目の奥にかけてズキズキと脈打つような痛みに襲われ、ひどいときには光や音にも敏感になり、仕事を早退することもあったそうです。市販の頭痛薬が手放せず、「薬を飲まないと一日が始まらない」という状態が何年も続いていました。
初めてカウンセリングでお話を伺ったとき、その方が一番気にされていたのは「これって一生付き合っていくしかないものなんですか」という不安でした。色々な病院や整体に通った経験もあるとのことでしたが、「とりあえず楽になる」を繰り返すばかりで、根本的に変わる感覚はなかったそうです。
体を診て分かったこと:後頭下筋群の深い緊張
実際にお身体を触らせていただくと、後頭部の生え際あたり、首の付け根の深いところにある「後頭下筋群」と呼ばれる筋肉群が、驚くほど硬く張っていました。後頭下筋群は、頭蓋骨と一番上の頸椎(首の骨)をつなぐ非常に小さな筋肉の集まりで、頭の向きを微調整する役割を担っています。
この筋肉のすぐ近くを「大後頭神経」という神経が通っており、後頭下筋群が硬く緊張すると、この神経が刺激されて後頭部の重だるさや締め付けるような痛みを引き起こします。さらに、首から後頭部にかけての血流やセンサーの乱れが、偏頭痛の引き金や悪化要因として関わっていると考えられています。長時間のパソコン作業で頭が前に出た姿勢(いわゆるストレートネック傾向の姿勢)を続けていると、この後頭下筋群は常に過緊張を強いられ、どんどん硬くなっていってしまうのです。
初回の施術:深いところへ、しっかりと
カウンセリングの後、後頭下筋群に向けて、長く太い鍼を使った深層筋鍼治療を行いました。「痛そう」と緊張されていましたが、施術中、その方が驚いていたのは「思っていたよりも、奥にズーンと響く感じがして、終わった後に視界がパッと明るくなったように感じた」という変化でした。これは、深層の硬くなった筋肉に直接刺激が届いたことで、その場所の血流が一気に促進されたサインだと考えています。
当院では、痛みを取り切るために必要であれば強い刺激も使いますし、鍼を一定時間そのまま留めておく「置鍼」も行います。「これくらいで様子を見ましょう」ではなく、「今、この瞬間の不調にしっかり向き合う」ことを大切にしているからです。
数回の施術を重ねて見えてきた変化
初回だけで劇的に変わるわけではありません。2回目の来院時には「あの施術の後、2日くらいは首から後頭部がすっきりしていた」というお話を聞かせてくれました。3回目、4回目と施術を重ねるうちに、「頭痛が来る前の、あの嫌な前兆を感じる回数が減った気がする」「薬を飲む回数が、月に5回から2回くらいまで減った」という声に変わっていきました。後頭下筋群の硬さが少しずつ和らいでいくのに合わせて、首や肩の重だるさも軽くなり、施術中に話される内容も、不安げなものから前向きなものへと変わっていくのを感じました。
「ここまで変わるとは思っていなかった」という言葉をいただいたとき、改めて、痛みの背景にある具体的な筋肉に直接アプローチすることの大切さを実感しました。偏頭痛は「体質だから」「ストレスだから」とひとくくりにされがちですが、その奥には、たいてい特定の筋肉の慢性的な緊張という、目に見える原因が存在しているのです。
偏頭痛を「我慢グセ」のままにしておくと
痛みが出るたびに薬で乗り切る生活を続けていると、痛みの感じ方そのものに体が慣れてしまい、頭痛の頻度や強さがじわじわと増していくことがあります。また、痛みをかばって首や肩をすくめるような姿勢を取り続けることで、後頭下筋群だけでなく僧帽筋や肩甲挙筋といった周囲の筋肉まで連鎖的に硬くなり、頭痛の引き金がさらに増えてしまう、という悪循環に陥りやすくなります。早い段階で「痛みの根っこ」に向き合うことが、結果的に一番の近道になります。
セルフケア:後頭下筋群をゆるめる習慣
- 後頭部リリース:両手の親指を後頭部の生え際あたり、首の付け根のくぼみに当て、頭の重みを利用して優しく圧をかけます。痛気持ちいい程度の強さで10〜15秒、深呼吸をしながら行いましょう。
- あご引きストレッチ:椅子に座ったまま、あごを軽く引いて後頭部を真上に引き上げるイメージで姿勢を正します。1日に何度か、デスクワークの合間に意識するだけでも、後頭下筋群への負担を減らすことができます。
セルフケアは「これ以上悪化させない」ための心強い味方ですが、すでに硬く変質してしまった深層の筋肉そのものを変えるには、専門的な施術との組み合わせが欠かせません。
「一生付き合うもの」だと思っていたものが、変わっていく
その方が最後に話してくれたのは、「頭痛は体質だから仕方ないと思っていたけど、原因になっている場所がはっきりして、そこに向き合ってもらえたことが一番大きかった」という言葉でした。痛みと長く付き合ってきた方ほど、「これは仕方のないこと」と諦めかけてしまいます。けれど、その痛みの背景には、たいてい「具体的に硬くなっている筋肉」が存在しています。
那覇市内・近隣エリアからのアクセス
北京堂鍼灸首里いじゅ治療院は那覇市首里にあり、那覇市内をはじめ浦添・宜野湾・糸満・豊見城方面からも多くの方にお越しいただいています。「頭痛と一生付き合うしかないのかな」と感じている方は、ぜひ一度、その痛みの正体と向き合うところから始めてみませんか。