「軟骨が減っているから仕方ない」は本当ですか?
「膝が痛くて階段が辛い」「病院でレントゲンを撮ったら軟骨が減っていると言われた」「変形性膝関節症と診断されたけど、薬と安静しか言われなかった」——那覇市内の当院に来院される方の中で、こういった経緯を持つ方は決して少なくありません。
変形性膝関節症は50代以降に急増する膝の疾患ですが、実際に悩んでいる人の「症状の出方」や「日常生活への影響」は千差万別です。今回は北京堂鍼灸首里いじゅ治療院に実際に来院された方々のタイプ別に、変形性膝関節症の特徴と深層筋鍼治療の効果をまとめてみました。
変形性膝関節症とは?「軟骨が減る」だけが問題ではない
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることで起こる変性疾患です。X線(レントゲン)で確認されることが多く、「骨と骨がぶつかっている」「関節の隙間が狭い」と言われることもあります。
ただし、重要な点があります。画像上の所見と痛みの強さは必ずしも一致しないのです。当院の臨床経験では、レントゲンで「かなり進行している」と言われた方が、深層筋への鍼治療で劇的に改善するケースを何度も目にしています。逆に、画像では大した変化がないのに強い痛みを訴える方もいます。
なぜかというと、膝の痛みの多くは膝そのもの(骨・軟骨)より、周囲の深層筋の問題が関与しているからです。特に膝窩筋(しつかきん)や半膜様筋(はんまくようきん)といった膝の奥深くにある筋肉が線維化して硬くなることで、膝関節に異常なストレスがかかり続け、軟骨の摩耗を加速させるだけでなく、炎症や痛みを引き起こします。
症例・タイプ別に見る変形性膝関節症
タイプ①:60代主婦・立ち仕事が多い方
「料理・掃除・買い物など一日中立ちっぱなしで、最近左膝の内側が痛い」——このタイプに多いのが、内側広筋(ないそくこうきん)の弱化と、半膜様筋・半腱様筋(はんけんようきん)の過緊張によるアンバランスです。
膝の内側(鵞足部)には、縫工筋・薄筋・半腱様筋の3つの筋肉が付着しています。立ち仕事や階段昇降を繰り返すうちに、これらの筋肉が疲弊し線維化が進みます。すると膝内側への牽引力が増して痛みが起きます。内側広筋は膝蓋骨を内方向へ引きつけることで膝の安定を担う筋肉ですが、長期間の痛みや運動不足で萎縮・弱化すると、膝関節への負担がさらに増します。大腿神経(だいたいしんけい)の支配を受けるこの筋肉が機能しなくなると、歩行時の膝の安定が損なわれます。
当院では内側広筋・半膜様筋・半腱様筋へ長い鍼で直接アプローチします。一般的な鍼灸治療に比較して強い刺激を使い、置鍼を行います。軸索反射(じくさくはんしゃ)によって患部の血流が改善し、線維化した筋繊維がほぐれることで膝内側の痛みが軽減します。
タイプ②:70代・農作業・畑仕事が多い方
「草むしりやいも掘りなど、しゃがんだり立ったりを繰り返す」——沖縄では農作業や家庭菜園をされる高齢の方が多く、このタイプでの来院も珍しくありません。繰り返すしゃがみ動作は、膝窩筋(しつかきん)に大きな負担をかけます。
膝窩筋は膝の後面深部にある小さいが重要な筋肉で、膝を曲げる動作の最初の「ロック解除」に関わります。この筋肉が硬化すると、しゃがもうとした時に「ガクッとする感覚」や「膝裏の張り・痛み」が出やすくなります。また、大腿二頭筋(だいたいにとうきん)の短縮も多く見られます。農作業時の中腰姿勢で常に収縮位に置かれ、慢性的に硬化します。膝窩神経(しつかしんけい)や総腓骨神経(そうひこつしんけい)の走行に近い場所に硬結があると、膝裏からふくらはぎにかけての痺れや痛みとして現れることもあります。
当院では膝窩筋への刺鍼を行う際、7〜9cmの長さの鍼を使用します。表面から数センチの位置にある筋肉ではなく、膝後面の深部にある筋肉に直接届かせるためです。
タイプ③:50代・元スポーツ選手・ランナー
「若い頃からバスケや陸上をやっていた」「現在もジョギングを続けている」——このタイプは、長年の反復運動による筋肉の線維化が特徴です。特に中間広筋(ちゅうかんこうきん)は大腿四頭筋の深層に位置し、スポーツによる慢性的な負荷で線維化が進みやすい筋肉です。中間広筋が硬くなると膝蓋骨の動きが制限され、膝の曲げ伸ばしのたびに異常な摩擦が生じます。
このタイプには中間広筋へ6〜12cmの鍼で深部まで刺鍼し、膝蓋腱周囲にも丁寧にアプローチします。「画像で問題が見つかっていても、大腿部の筋肉を治療すれば痛みが取れることが多い」というのが当院の一貫した臨床経験です。
タイプ④:体重負担が大きく、膝に荷重がかかりやすい方
体重による膝への負担増は変形性膝関節症の進行を速める要因の一つです。このタイプでは、内転筋群(ないてんきんぐん)と大内転筋(だいないてんきん)が過剰に緊張しやすく、股関節のアライメント異常が膝への内反ストレスを強めます。さらに下肢の静脈還流が悪化しやすいため、膝周囲の浮腫が合併することも多く、腓腹筋(ひふくきん)やヒラメ筋の硬化が膝への影響を増幅させます。当院では膝だけでなく、股関節から足首までを含めた下肢全体のバランスを評価した上でアプローチします。
なぜ深層筋が「変形性膝関節症」の鍵なのか
変形性膝関節症の痛みの背景には、筋肉の線維化(せんいか)があります。線維化とは、筋肉が繰り返しの負荷・慢性的な血流不足・炎症を繰り返すことで、本来の筋繊維がコラーゲン組織に置き換わってしまう状態です。特に骨に付着する「起始停止部(きししていぶ)」は最も線維化が進みやすく、ここへのアプローチなしでは根本的な改善が難しいのです。
当院では、この線維化した組織そのものに長く太い鍼で機械的な刺激を加え、硬く変性した筋繊維をほぐして血流の回復を促します。慢性的な虚血と炎症の繰り返しによって線維化した深層筋は、マッサージや一般的な施術では届きません。だからこそ、長く太い鍼による深層筋への直接アプローチが必要なのです。「何年も変形性膝関節症で悩んでいた」「注射を繰り返してきたがまた痛くなる」という方にこそ、このアプローチが有効です。
セルフケア:ご自宅でできる膝周りのケア
①大腿四頭筋のストレッチ
立った状態で片足を後ろに引き、足首を手でつかんで大腿前面を伸ばします。膝が浮かないように注意しながら、30秒×左右3セット。大腿前面の張りを軽減し、膝蓋骨の動きをスムーズにします。
②ハムストリングスのストレッチ
椅子に浅く座り、片足を前に伸ばしてかかとを床につけます。背筋を伸ばしたまま少し前傾すると、太ももの裏が伸びます。半膜様筋・半腱様筋の柔軟性を保つことで、膝内側の負担を減らします。30秒×左右3セット。
セルフケアは予防・維持には有効ですが、深層筋の線維化が進んでいる場合は改善に限界があります。膝の痛みが続く場合は、ぜひ鍼治療との組み合わせをご検討ください。
北京堂鍼灸首里いじゅ治療院へのご相談
那覇市首里にある当院は、鍼灸師歴18年・施術回数3万5000回以上の実績を持つ伊集和重が施術します。変形性膝関節症の料金・施術内容については、初診時に丁寧にご説明します。那覇市内・浦添・宜野湾・糸満・豊見城からご来院いただいています。「軟骨が減っているから仕方ない」と諦める前に、深層筋という視点からアプローチしてみませんか。膝の奥にある筋肉が変われば、膝は変わります。