「自分で何とかしよう」と思っていた
Mさん(40代・那覇市在住・事務職)が初めて来院されたのは、腰痛が始まってからおよそ3年が経ったころでした。
「鍼は怖いし、まず自分でできることをやってから考えようと思って」と話してくれたMさん。YouTubeで腰痛ストレッチを調べて毎朝続けたり、ドラッグストアで湿布を買い込んだり、近所のマッサージに月2〜3回通ったり——できる限りのセルフケアを積み重ねてきました。
でも、3年経った今も腰の重だるさは抜けない。朝起きたときの「いてて」という感覚も変わらない。長時間座っていると右のお尻から太ももにかけてじんじんしてくる。
「もしかしたら根本的に違うことをしなきゃいけないのかな、と思い始めて」——そう話しながら来院されました。
初診で気づいたこと:セルフケアが届いていない場所があった
問診と触診をしていく中で、Mさんの腰痛の主な原因がどこにあるかが見えてきました。
Mさんは典型的な「丸まり腰タイプ(骨盤後傾・腰椎前弯減少)」でした。骨盤が後方に傾き、腰の自然なS字カーブが失われているタイプです。事務職でデスクに向かう時間が長く、気づくと骨盤が後ろに倒れた姿勢で座り込んでいたといいます。
このタイプで問題になる主な筋肉は、ハムストリング(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)と外旋筋群(梨状筋・上下双子筋・内外閉鎖筋・大腿方形筋)です。
ハムストリングが短縮・硬化すると、坐骨を後ろに引っ張る力が生まれ、骨盤が後傾します。すると腰椎は本来あるべき前弯カーブを保てなくなり、椎間板への圧力が偏ります。外旋筋群は代償的に過緊張し、股関節の動きを制限していきます。
さらに3年という時間が経過していたことで、腸腰筋・腰方形筋・多裂筋の深部にも線維化——筋繊維がコラーゲン組織に置き換わり、弾力を失った状態——が進んでいました。
「YouTubeのストレッチは主にもも裏を伸ばすものをやっていました」とMさん。その方向性は間違っていないのですが、セルフストレッチで届く範囲は筋肉の表層部分まで。梨状筋などの股関節深層の外旋筋群や、腸腰筋・腰方形筋の深部の線維化した組織には、残念ながら届いていませんでした。
施術の内容と、変化の経過
1〜2回目:「重さが少し違う気がする」
最初の施術では、ハムストリングと外旋筋群(特に梨状筋・大腿方形筋)への刺鍼から始めました。うつ伏せの体位で、臀部の深層に向けて長い鍼を丁寧に刺入していきます。
また、腰方形筋と多裂筋の深部にも刺鍼し、当院が必ず行う置鍼(一定時間鍼を留置すること)を施しました。置鍼は、刺激された神経の支配領域全体に軸索反射による血流改善効果を広げるために欠かせないプロセスです。
施術後、Mさんは「腰の重さが少し違う気がします。軽いというより……なんか奥からほぐれた感じ」と言いました。2回目の施術後には「朝の起き上がりが楽になった」という変化を感じていただけました。
3〜5回目:右のお尻から太ももへのじんじんが減ってきた
3回目からは腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)へのアプローチを加えました。仰向け体位で鼠径部から腸骨内壁に沿って深部まで刺鍼します。使う鍼は9〜15cm——Mさんはその長さを見て少し驚いていましたが、刺入の感覚は「響き」はあっても鋭い痛みではないといいます。
当院は、一般的な鍼灸治療に比較して強い刺激を使い、置鍼を行います。これはMさんのように線維化が進んだ筋肉に対して必要なアプローチです。「ちょっと強いですね」と言いながらも毎回しっかり施術を受けてくださいました。
5回目の来院時、Mさんは「右のじんじんが半分以下になってきました」と教えてくれました。長時間座っていても以前ほど気にならなくなったとのことです。
8回目以降:「もうストレッチも変わってきた」
施術を重ねる中で、Mさんのセルフケアの質も変わってきました。「施術の後、ストレッチをすると以前より深くまで伸びる感じがあって、気持ちよさが全然違う」と話してくれました。
これは重要なポイントです。線維化した深層筋がほぐれてくることで、それまでは「表面だけ伸びていた」ストレッチが、より深い層まで効くようになるのです。セルフケアは「一定以上の状態が保てている筋肉」に対して初めてその効果を発揮します。
セルフケアは「正しい」——でも、それだけでは届かない場所がある
Mさんのケースで伝えたいのは、「セルフケアは無意味だった」ということでは全くありません。
ストレッチや体操は、腰痛の予防・維持管理・再発防止に欠かせないものです。Mさんが3年間続けてきたことは、決して無駄ではありませんでした。
ただ——線維化が進んだ深層筋には、どんなに丁寧なセルフケアでも届かない壁があります。体の奥深くにある腸腰筋・多裂筋・外旋筋群の線維化した組織を変えられるのは、その深さまで届く長い鍼による物理的な刺激だけです。
「あの3年間があって、先生のところに来てみようという気持ちになれたんですよね」とMさん。自分でできることをやり尽くした上で、それでもダメだったから来てみた——その経緯が施術への信頼につながったと感じています。
腰痛のセルフケアをされている方へ:こんな状態なら鍼を試してほしい
- 半年以上ストレッチや体操を続けているが改善しない
- マッサージに行くとその日は楽になるが翌日には元通り
- お尻・もも裏・ふくらはぎにかけてじんじんする・痺れがある
- 朝起き上がるときに毎回痛みがある
- 仕事や家事で長時間同じ姿勢を続けると辛くなる
セルフケアを続けながら通院することも十分可能です。むしろ施術と組み合わせることで、セルフケアの効果も引き出しやすくなります。
施術者について
北京堂鍼灸首里いじゅ治療院の院長・伊集和重(いじゅ かずしげ)は、鍼灸師歴18年・施術回数3万5000回以上。北京堂浅野式の施術思想を基盤に、硬い筋肉の凝りによる症状を専門に扱っています。腸腰筋・多裂筋・腰方形筋などの深層筋に長く太い特殊鍼で直接アプローチする施術スタイルは、「他院で治らなかった」という方が多く来院されている理由のひとつです。
まとめ
腰痛のセルフケアは正しい。でも、深層筋の線維化が進んだ状態では届かない限界がある。そこから先に踏み込めるのが、北京堂浅野式の深層筋鍼治療です。
那覇市・浦添・宜野湾・糸満・豊見城エリアで長年腰痛のセルフケアを続けているが変わらない、という方は、ぜひ一度ご相談ください。
北京堂鍼灸首里いじゅ治療院|沖縄県那覇市首里