野球肩が治らない選手へ|那覇で深層筋鍼治療を受けた選手たちの共通点
「肩が痛くて全力投球ができない」「シーズン明けには治るけど、また再発した」「整形外科でインピンジメントと言われてリハビリをしているけど試合前に戻ってしまう」
北京堂鍼灸首里いじゅ治療院には、こうした悩みを持った野球選手が那覇市内だけでなく、浦添・宜野湾・糸満・豊見城エリアから来院されます。
16年の鍼灸師歴、施術回数3万5000回以上の経験から言えることがあります。野球肩が何年も治らない選手のほとんどに、共通したある問題があります。それは「深層筋の線維化」です。
野球肩とは何か──投球動作が生む構造的なダメージ
野球肩(投球障害肩)は、繰り返す投球動作によって肩の組織が障害される状態の総称です。インピンジメント症候群、腱板炎(腱板損傷)、SLAP損傷、リトルリーガーズショルダーなど様々な診断名がついていますが、根本にあるのは「肩周囲の深層筋が限界を超えた状態」です。
投球動作はワインドアップ→コッキング→アクセラレーション→フォロースルーという4つのフェーズに分かれます。特にフォロースルー(投げ終わりの腕の動き)の局面では、肩の後部に強烈な遠心性収縮(筋肉が伸びながら力を出す収縮)がかかります。この繰り返しが棘下筋・小円筋といった後方腱板に集中的なストレスをかけ続けます。
一方、コッキングフェーズ(腕を最大限に後ろに引く動作)では肩甲下筋が最大限に伸張されながら張力を発揮します。硬式ボールを投げる動作は日常生活にはない極端な肩関節の外転・外旋の動きであり、肩甲下筋に慢性的なストレスがかかります。
野球肩に関わる3つの深層筋
棘下筋(きょくかきん)── 野球肩の最重要筋
棘下筋は肩甲骨の背面(棘下窩)から上腕骨の大結節に付着する筋肉で、肩関節を外旋させる動き(腕を外側に回す動き)の主動筋です。腱板を構成する4つの筋肉のひとつでもあり、上腕骨頭を肩甲骨の関節窩に引きつけて安定させる役割も担っています。
投球動作のフォロースルーでは、この棘下筋が過負荷を受け続けます。特に「肩の後ろが抜けるような痛み」「フォロースルーで痛みが走る」という症状は棘下筋の関与が疑われます。さらに、棘下筋の硬化は腋窩神経の絞扼を引き起こし、肩関節周囲の感覚異常や脱力感につながることもあります。
慢性的に投球を繰り返している選手では、棘下筋の筋腹だけでなく、肩甲骨の大結節への付着部(停止部)に線維化が起こりやすく、この部分への刺鍼が難しいため一般的な鍼灸では届かないことが多いのです。
肩甲下筋(けんこうかきん)── 前方安定のキーマッスル
肩甲下筋は肩甲骨の前面(肩甲下窩)から上腕骨の小結節に付着します。肩関節を内旋させる動き(腕を内側に回す動き)の主力筋であり、同時に上腕骨頭が前方にずれないように抑える安定機能を持ちます。
コッキングフェーズで肩を最大外旋させる際、肩甲下筋は最大限に引き伸ばされながら上腕骨頭が前方に飛び出さないように強く収縮します。これが繰り返されると、肩甲下筋の深層部と停止部(小結節)に線維化が蓄積し、「肩の前が痛い」「腕を後ろに引くときに引っかかり感がある」という症状につながります。
肩甲下筋は肩甲骨の前面にあるため、背中側からのアプローチでは届きません。当院では鍼の角度と体位を工夫して肩甲骨の前面に到達するアプローチを行います。
前鋸筋(ぜんきょきん)── 投球の安定台
前鋸筋は肋骨の側面から肩甲骨の内側縁(前面)に付着し、肩甲骨を胸郭に密着させながら前傾させる働きをします。投球動作において肩甲骨を正しい位置に保つための「土台」となる筋肉です。
前鋸筋が弱化・硬化すると「翼状肩甲骨」(肩甲骨が背中から浮き上がる状態)が起こり、肩関節全体のメカニクスが乱れます。結果として棘下筋や肩甲下筋への負担が増大し、野球肩を悪化・再発させる連鎖が生まれます。また前鋸筋には長胸神経(ちょうきょうしんけい)が走行しており、この神経が絞扼されると「肩が上がらない」「力が入らない」という神経症状が出ることもあります。
なぜ野球肩は繰り返すのか──線維化という本当の問題
整形外科でのリハビリや一般的な鍼灸、マッサージで一時的に楽になっても、また再発してしまう選手は多くいます。その理由は「痛みの根本原因が線維化にあるから」です。
投球動作を繰り返すことで棘下筋・肩甲下筋への血流が慢性的に低下します。血流不足が続くと筋繊維はコラーゲン組織に少しずつ置き換わっていく──これが線維化です。線維化した組織は弾力を失い、伸びない・ほぐれない・血流が通りにくい状態になります。さらにこの線維化した組織がさらに血流を阻害するため、より線維化が進む悪循環が固定化されます。
特に問題になるのが、筋肉が骨に付着する「停止部」に起こる線維化です。棘下筋の大結節停止部、肩甲下筋の小結節停止部は強い張力がかかり続けるため線維化が進みやすく、体表から遠い深部にあるためマッサージや電気治療、表面的な鍼では物理的に届きません。「病院のリハビリをしても良くならない」「施術を受けたその日は楽だが次の日には戻る」というパターンは、この深部の線維化に手が届いていない状態です。
北京堂の深層筋鍼治療── 野球肩への具体的アプローチ
北京堂鍼灸首里いじゅ治療院では、野球肩の治療に長く太い鍼を使い、棘下筋・肩甲下筋・前鋸筋の深層部と停止部に直接アプローチします。一般的な鍼灸治療に比較して強い刺激を使い、置鍼を行います。
置鍼(鍼を一定時間留置すること)は北京堂浅野式において必須のプロセスです。鍼を正しい深さで留置することで「得気(とっき)」──鍼が筋肉に正確に届いたときの特有のじんわりした響き──が起き、軸索反射(axon reflex)によって刺激部位周辺の血流が一気に回復します。この血流の回復こそが、線維化した組織のリモデリング(再生)を促すメカニズムです。
棘下筋へのアプローチでは、うつ伏せの体位で肩甲棘(肩甲骨の出っ張り)の下から鍼を入れ、棘下窩の深層部と大結節停止部に到達させます。肩甲下筋へは体位を工夫しながら肩甲骨の前面に向けてアプローチし、前鋸筋へは側臥位で肋骨の走行に沿って刺鍼します。
また急性期(試合直後の強い痛み、炎症がある時期)であっても、当院では患部に積極的に刺鍼します。「炎症があるから触れない」ではなく「適切な部位に適切な刺激を」が当院の方針です。適切な部位に鍼を打つことで循環が改善し、組織修復が早まります。
セルフケア──投球後に必ずやってほしい2つのストレッチ
① 棘下筋のストレッチ(クロスボディストレッチ)
痛い方の腕を体の前を通して反対側に引き寄せます。反対側の手で肘の後ろを支えながら、腕を胸に引きつけるように10〜20秒キープ。肩の後ろにストレッチ感が出れば正解です。3セット行います。投球後、ベンチで休憩している間に行う習慣をつけてください。
② 前鋸筋の活性化(壁押しプッシュアップ)
壁から50cm程度離れて立ち、両手を肩幅で壁につけます。肩甲骨を意識しながら、壁を押して肩甲骨を外に広げる動きを繰り返します。「肩甲骨をはがすように」押すイメージで10回×3セット。前鋸筋の神経筋協調を取り戻すための動きです。
ただし、これらのセルフケアは深部の線維化には届きません。投球動作中の痛み、夜間痛、腕のしびれがある場合は早めに専門家への相談をおすすめします。
野球肩でお悩みの方へ
北京堂鍼灸首里いじゅ治療院の伊集和重(鍼灸師歴18年・施術回数3万5000回以上)が、あなたの肩の状態を診ます。単に痛みを取るだけでなく、なぜ繰り返すのかの原因を探り、深層筋の線維化に直接アプローチします。那覇市内・浦添・宜野湾・糸満・豊見城エリアからご来院いただけます。野球肩でお困りの選手、保護者の方はお気軽にご相談ください。シーズン中でも急性期でも対応いたします。