五十肩がなかなか治らないのは肩の前側のせいだった|那覇の鍼灸師が本当の原因を解説

「整体に半年通ったけど変わらない」「湿布と痛み止めでこの1年をやり過ごしてきた」。那覇・首里の北京堂鍼灸首里いじゅ治療院には、そうやって五十肩と長く付き合ってきた方が数多くいらっしゃいます。今日は「なぜ五十肩は治りにくいのか」を、肩の奥のインナーマッスルと、意外と見落とされがちな体の前側の筋肉という2つの視点から掘り下げてお話しします。

五十肩の主役はインナーマッスルの線維化

肩関節を安定させているのは、棘下筋・肩甲下筋・小円筋・棘上筋という4つの回旋筋腱板(ローテーターカフ)です。これらは肩甲骨と上腕骨の間で腕の細かい動きを支えている、いわば肩の縁の下の力持ちです。

五十肩の根本原因は、慢性的な血流不足によってこのインナーマッスルが線維化してしまうことにあります。血流が悪い状態が続くと筋線維はコラーゲン組織に置き換わり、弾力を失って硬くなります。この線維化した組織はストレッチや温熱、安静だけではほとんど変化せず、「腕を上げようとすると奥のほうでつっぱる」「服を着替えるときに背中に手が回らない」といった動作制限として現れてきます。

特に棘下筋・肩甲下筋は体表から遠く、しっかり届く刺激でなければ変化を起こしにくい部位です。マッサージや表面的な鍼では、この深さまで届かないことが「何年も同じ症状を繰り返す」原因のひとつになっています。

見落とされがちな「肩の前側」という視点

五十肩の施術というと、痛みが出ている肩の後ろ側・外側ばかりに意識が向きがちです。ですが実際には、肩の前側にある肩甲下筋・大胸筋・小胸筋が縮んで硬くなっていることが、症状を長引かせる大きな要因になっています。

人は日常生活のほとんどを、体の前側を使う作業でこなしています。デスクワークでのパソコン操作、スマートフォンの操作、料理や洗い物、車の運転。これらはすべて腕を体の前方に出し、肩を内側に巻き込む姿勢です。この姿勢を毎日何時間も繰り返すことで、肩の前側の筋肉は常に縮んだ状態が当たり前になり、次第に硬く短縮していきます。

一方で、肩甲骨まわりの棘下筋・小円筋・大円筋といった背面の筋肉は、この巻き肩姿勢によって常に引き伸ばされながら踏ん張り続けるという、いわば「伸ばされながら踏ん張る筋トレ」を延々とやらされ続けている状態になります。これをエキセントリック収縮と呼びますが、筋肉にとって最もきつい負荷のかかり方のひとつです。

背面をほぐしても、すぐ戻ってしまう理由

痛みが出ている背面の筋肉だけをほぐしても、その場は楽になりますが、多くの場合すぐに元の硬さに戻ってしまいます。これは、背面の筋肉を疲労させ続けている本当の原因である「前側の縮んだ筋肉」を緩めない限り、巻き肩という姿勢そのものが変わらないためです。姿勢が変わらなければ、背面の筋肉は再び同じように酷使され続けます。

前側の筋肉は、動かしてもあまり痛みを出さない性質があるため、本人も見落としやすく、施術する側も意識しないと見逃してしまいがちな部位です。ここに五十肩がなかなか治らない、根深い理由が隠れています。

日常生活のどんな動作でつらくなるか

五十肩の方からよく伺うのは、洗濯物を高いところに干す動作、髪を結ぶ・後ろで留める動作、シートベルトに手を伸ばす動作、背中に手を回してブラジャーのホックを留める・エプロンの紐を結ぶ動作がつらくなる、というお話です。これらはいずれも肩の内旋・外旋・挙上が複合的に必要な動作で、棘下筋・小円筋・肩甲下筋のどれか、あるいは複数が硬くなっていると強い制限や痛みが出やすくなります。

デスクワークで一日中パソコンに向かっている方、美容師や調理師のように腕を前に出す作業を繰り返す方、育児で赤ちゃんを抱っこする時間が長い方など、日常的に前側を使う姿勢が続く仕事や生活スタイルの方に五十肩が多い印象があります。

五十肩の経過(炎症期・拘縮期・回復期)

五十肩は一般的に、じっとしていても痛む「炎症期」、痛みは落ち着くものの動きが硬くなる「拘縮期」、徐々に動きが戻ってくる「回復期」という経過をたどると言われています。「そのうち自然に治る」と言われることもありますが、実際には拘縮期に十分な可動域が戻らないまま回復期に入ってしまい、腕の上がりにくさや後ろに手が回らない状態が何年も残ってしまう方を数多く診てきました。どの時期であっても、線維化した深層筋にアプローチできるかどうかが、その後の可動域に大きく影響します。

当院での五十肩へのアプローチ

当院では、棘下筋・肩甲下筋・小円筋といった背面のインナーマッスルに加えて、大胸筋・小胸筋・肩甲下筋といった前側の筋肉にも長く太い鍼で直接アプローチします。前側を緩めることで巻き肩の姿勢そのものが変わり、胸が自然に開き、背面の筋肉への負担が根本から減っていきます。

一般的な鍼灸治療に比較して強い刺激を使い、置鍼を行います。刺激を入れたあと鍼をしばらく留置することで軸索反射が起こり、その神経が支配する範囲全体の血流が回復していきます。これは単発の刺激だけでは得られない、北京堂浅野式の根幹となる考え方です。刺鍼中に感じる「ズーンとした重だるい響き」は得気(とっき)と呼ばれ、鍼が目的の筋肉に正確に届いている証拠でもあります。

急性期(夜間痛がある時期)でも積極的に施術します

「夜、痛みで目が覚めてしまう」という急性期の五十肩では、C7(第7頸椎)周辺や腕神経叢の周りの筋肉の凝りが強いことが、夜間痛を増悪させる要因になります。「炎症があるうちは触れない方がいい」と思われがちですが、当院では適切な部位に適切な刺激を入れることを方針としており、急性期であっても該当箇所にしっかり鍼を行います。

セルフケア:胸を開くストレッチ

壁の角やドア枠に肘を90度に曲げた状態で腕をかけ、体をゆっくり反対方向へひねって胸〜肩の前側を伸ばします。デスクワークの合間に1回20〜30秒行うだけでも、日々の巻き肩の進行にブレーキをかけることができます。ただし、すでに線維化してしまった深層の筋肉までは、このストレッチだけでは届きません。

夏の冷房も五十肩の血流不足を後押しする

沖縄の夏はエアコンを一日中つけっぱなしにするご家庭や職場が多く、薄着で長時間冷えた空気にさらされることで、肩まわりの血流はさらに滞りやすくなります。「冬でもないのに肩が余計に硬い気がする」という方は、冷房による冷えが線維化の進行を後押ししている可能性があります。施術後は肩まわりを冷やしすぎないよう、羽織るものを一枚用意しておくこともおすすめしています。

前側が緩むと起こる変化

肩の前側が緩んで伸びるようになると、胸が自然に張れるようになり、頭が背骨の上にきちんと乗るようになります。すると首や肩の筋肉が余計な力を使わずに頭の重さを支えられるようになり、疲れにくく痛みも出にくい体に変わっていきます。血流が良くなることで代謝が上がり、姿勢が整うことで見た目の印象も変わってくる方が多くいらっしゃいます。五十肩の施術は、単に「痛いところをほぐす」だけでなく、その痛みを生み出している前側の縮んだ筋肉を緩めるところまでがセットになって、はじめて根本改善に近づきます。

よくある質問

Q. 何回くらい通えば変わりますか?
A. 線維化の程度や五十肩になってからの期間によって差がありますが、前側と背面の両方にアプローチすることで、可動域の変化を早い段階で感じていただけるケースが多くあります。まずは現在の状態を実際に見せていただくのが一番です。

Q. 痛みが強くて腕を触られるのも怖いのですが大丈夫ですか?
A. 刺激の強さは調整可能です。急性期で痛みが強い方には、その日の状態に合わせて刺鍼の部位や強さを加減しながら進めていきますので、ご相談ください。

那覇・首里で五十肩にお悩みの方へ

「整骨院やマッサージに通っても変わらない」「湿布を貼り続けているだけ」という方は、痛みが出ている背面だけでなく、見落とされがちな肩の前側にも原因が隠れている可能性があります。北京堂鍼灸首里いじゅ治療院では、伊集和重(鍼灸師歴18年・施術回数3万5000回以上)が、この前後両面からのアプローチで五十肩の施術にあたっています。那覇市内はもちろん、浦添・宜野湾・糸満・豊見城からのご来院も多くいただいています。

五十肩については他の記事でも角度を変えて解説していますので、あわせてご覧ください。

五十肩、整骨院・マッサージ・湿布とどう違う?那覇の鍼灸師が深層筋鍼治療との違いを比較

【那覇・首里】五十肩で腕が上がらない方へ|なぜ治らないのか本当の原因とは?