バレーボールのスパイクで肩を痛めていませんか?棘下筋・前鋸筋からみる根本原因
スパイクを打つたびに肩の奥がズキッとする。サーブのときだけ引っかかるような違和感がある。レシーブの構えで腕を上げると肩の後ろが張る。那覇市内の中学・高校のバレーボール部員や、クラブチームで活動する選手からこうしたご相談をいただくことが増えています。北京堂鍼灸首里いじゅ治療院の伊集です。
「病院でレントゲンを撮っても異常なしと言われたけれど、痛みは続いている」というお話もよく伺います。骨や関節そのものに損傷がなくても、深層の筋肉が慢性的に硬くなっていることで痛みや違和感が出ているケースは決して珍しくありません。
バレーボール肩・スパイク障害の特徴
バレーボールは、スパイク・サーブ・オーバーハンドパスなど、肩を大きく振りかぶって力強く振り下ろす動作が非常に多い競技です。野球の投球動作に近い負荷が肩関節にかかり続けるため、いわゆる「バレーボール肩」は投球障害肩と共通するメカニズムで発症することが少なくありません。特にアタッカーやサーバーは、練習・試合を通して同じ肩を何百回、何千回と振り続けることになります。
原因筋①:棘下筋・棘上筋(回旋筋腱板)
スパイクのバックスイングからインパクトにかけて、肩関節は大きな外旋・内旋の動きを高速で繰り返します。この動きを支えているのが棘下筋・棘上筋・小円筋・肩甲下筋からなる回旋筋腱板(ローテーターカフ)です。特に棘下筋は肩関節の外旋を担う中心的な筋肉で、スパイクのテイクバック動作で強く引き伸ばされたあと、インパクトの瞬間に一気に収縮させられます。この繰り返しにより棘下筋は慢性的に硬くなり、腕を後ろに引く動作や、真上に上げる動作で痛みや引っかかりを感じるようになります。棘上筋は腕を横から挙げる初動を担う筋肉で、ここが硬くなると、レシーブで腕を素早く上げる動作にも影響が出てきます。
原因筋②:前鋸筋
もう一つ見落とされがちなのが前鋸筋です。肋骨の側面から肩甲骨の内側にかけて広がる筋肉で、肩甲骨を胸郭に安定させ、腕を高く振り上げる動作を土台から支える役割を持っています。前鋸筋の働きが弱まったり硬くなったりすると、肩甲骨が浮き上がるように不安定になり、いわゆる翼状肩甲に近い状態になることがあります。この状態になると、その分の負担が棘下筋や三角筋など他の筋肉に集中してしまいます。スパイクのたびに肩甲骨が土台からグラつくような感覚がある選手は、前鋸筋の状態を一度確認する価値があります。
ポジション別に見る負担のかかり方
ひとくちにバレーボール肩といっても、ポジションによって負担のかかり方には違いがあります。
アタッカー(レフト・ライト)
もっとも肩への負担が大きいポジションです。高い打点でボールを叩くために、肩関節を大きく外旋させてからのフルスイングを何度も繰り返します。棘下筋・棘上筋への負荷が特に集中しやすく、シーズンを通して肩の違和感を抱えている選手が多い印象です。
セッター
スパイクほどの大きな振りはありませんが、トスを上げる動作を一試合で何十本、何百本と繰り返します。細かい動作の反復による疲労蓄積型の負担がかかりやすく、前腕から肩にかけての張りを訴える選手が多いポジションです。
リベロ・レシーバー
強打を受け止めるレシーブ動作では、腕を伸ばした状態で衝撃を受け止めるため、肩関節を安定させる役割を持つ前鋸筋・回旋筋腱板に瞬間的に強い負荷がかかります。反応速度を求められるポジションだからこそ、肩の可動域や安定性が競技力に直結します。
なぜ湿布やアイシングだけでは改善しないのか
練習後に湿布を貼ったりアイシングをしたりして、その場の炎症を抑える対処をされている選手も多いと思います。もちろん急性の炎症期にはそれも大切なケアです。ですが、繰り返しの負荷で慢性的に硬くなった筋肉は、血流不足が続くことで線維化、つまり本来の弾力を失った硬い組織に変性していきます。線維化した組織は、まるでビーフジャーキーのように弾力を失い、表面的なケアでは届かず、シーズンを重ねるごとに違和感が抜けにくくなっていくケースを多く見てきました。「休めば治る」と思って様子を見ているうちに、深部の硬さがどんどん進行してしまうことも珍しくありません。
三角筋・肩甲骨まわりの連動も見逃せません
棘下筋・棘上筋・前鋸筋の硬さが慢性化すると、その負担を補おうとして三角筋や肩甲骨周囲の筋肉にも緊張が波及していきます。肩の可動域が徐々に狭くなり、「以前より高い打点で打てなくなった」「肩が上がりにくい」といった、パフォーマンスの低下として表れることもあります。痛みという分かりやすいサインが出る前の段階で、可動域の変化やフォームのわずかな崩れとして影響が出ていることも少なくありません。
成長期の選手は特に注意が必要です
中学・高校のバレーボール部員は、体がまだ発達途中の成長期にあたります。骨の成長に筋肉の柔軟性が追いつかず、もともと肩まわりが硬くなりやすい時期でもあります。そこに毎日の練習でスパイク・サーブを繰り返すことで、大人よりも早いペースで肩の深層筋に負担が蓄積していくことがあります。「痛みがあっても大会が近いから我慢する」という選手も多いのですが、早い段階で深層筋の硬さにアプローチしておくことが、長くバレーボールを続けるためにも大切だと考えています。
放置するとどうなるか
肩の違和感を抱えたままプレーを続けると、無意識にフォームをかばうようになり、腰や肘、手首など他の部位に負担が波及していくことも珍しくありません。「肩をかばっていたら今度は肘が痛くなった」という選手も実際にいらっしゃいます。早い段階で深層筋の硬さに向き合っておくことは、目の前の痛みだけでなく、その先の連鎖的なケガを防ぐことにもつながります。
深層筋鍼治療でのアプローチ
当院では、棘下筋・前鋸筋といった深部の筋肉に、長さや太さを選んだ鍼で直接アプローチします。表面のマッサージでは届かない筋肉の奥、線維化が進んだ部分にまで機械的な刺激を加えることで、組織の入れ替わりと血流回復を促していきます。他の鍼灸治療と比べて強い刺激を用いること、そして置鍼を行うことが当院の特徴です。置鍼によって軸索反射という反応が起こり、刺激した神経領域一帯の血流が改善する時間をしっかり確保することができます。急なケガの場合はもちろん、慢性化して何年も違和感を抱えている選手にこそ、このアプローチが力を発揮します。
鍼が正しく深部の筋肉に届くと、「得気(とっき)」と呼ばれるズーンとした重だるいような独特の感覚が出ることがあります。選手の体格や年齢、症状の程度に合わせて刺激量を調整していますので、鍼が初めての選手や、成長期の中高生にもご相談いただけます。
セルフケア:肩甲骨まわりのストレッチ
- 棘下筋のストレッチ:右腕を胸の前で水平に伸ばし、左手で右肘を体側に引き寄せます。肩の後ろ側が伸びる感覚を意識しながら20〜30秒キープ。反対側も行いましょう。
- 前鋸筋のエクササイズ:四つ這いの姿勢から、肩甲骨を寄せずに背中を丸めるように床を押し出す動きをゆっくり10回。肩甲骨の外側から肋骨にかけて働く感覚を意識してください。
- 棘上筋のセルフケア:反対の手でタオルの端を持ち、痛みのない範囲でゆっくり腕を横から上げ下げします。無理に可動域を広げようとせず、痛みが出ない範囲で行うことが大切です。
ただし、練習量が多い選手ほど、セルフケアだけでは間に合わないほど深部の筋肉が硬くなっていることも珍しくありません。違和感が2週間以上続く場合は、一度専門家に状態を確認してもらうことをおすすめします。
ナノミストサウナとの組み合わせもおすすめです
当院では鍼施術とあわせて、ナノミストサウナもご利用いただけます。施術前に入っていただくと筋肉が緩んで刺鍼時の痛みが軽減しやすく、施術後に入っていただくと筋肉痛のような刺激後の反応が和らぎやすくなります。試合が続く時期の疲労回復に活用されている選手もいらっしゃいます。マイナスイオンの効果で血液が弱アルカリ性に傾き、末梢の血流が改善しやすくなることも、コンディショニングの一助になります。
沖縄の体育館事情と肩のコンディショニング
沖縄は屋内体育館でも湿度が高く、汗をかきやすい環境で練習することが多い地域です。汗で体が冷えやすいタイミングや、エアコンの効いた室内から屋外へ移動する際の温度差も、肩まわりの血流に影響を与えることがあります。ウォームアップ・クールダウンをしっかり行うことに加えて、日頃から深層筋の血流を良い状態に保っておくことが、シーズンを通して大きなケガを防ぐことにもつながります。
那覇でバレーボール肩にお悩みなら
「まだ動けるから」と我慢して練習を続けている選手ほど、実は深層の筋肉が限界に近づいていることがあります。北京堂鍼灸首里いじゅ治療院では、施術者自身が結果にこだわりながら、選手一人ひとりの状態に合わせて刺激量を調整して施術を行っています。鍼灸師歴18年、施術回数3万5000回を超える経験の中で、多くのスポーツ障害と向き合ってきました。
大会前で調整に入っている選手、痛みをかばいながらプレーを続けている選手、フォームの違和感が抜けない選手など、状況はさまざまです。個別の症状を診断するものではありませんが、それぞれの体の状態や競技特性に合わせて、原因になっている深層筋を見極めながら施術を組み立てています。那覇市内はもちろん、浦添・宜野湾・糸満・豊見城エリアからも通っていただけます。スパイクのたびに感じる肩の違和感、ぜひ一度ご相談ください。