水泳で肩が痛む「スイマーズショルダー」、フォームを直しても治らない理由
「コーチにフォームを見てもらって直した」「肩甲骨を意識して泳ぐようにした」。それでも水をキャッチするたびに肩の奥がズキッとする。那覇市首里の北京堂鍼灸首里いじゅ治療院には、水泳やトライアスロンをされている方から、こうした「スイマーズショルダー」の相談が寄せられます。フォームの修正はもちろん大切ですが、それだけでは解決しない痛みの背景には、深層筋の硬さが関係していることが少なくありません。
スイマーズショルダーとは
スイマーズショルダーは、クロールやバタフライなど、腕を大きく回旋させながら繰り返し使う泳法によって、肩関節周辺に炎症や痛みが生じる状態の総称です。医学的にはインピンジメント症候群(肩峰下での組織の挟み込み)や腱板の炎症が背景にあることが多く、キャッチからプルにかけての動作、特に腕を頭上に上げて内側にひねる動きで痛みが強く出やすいのが特徴です。
棘下筋・棘上筋・小円筋にかかる負担
水泳のストロークでは、肩関節をインナーマッスルである回旋筋腱板(ローテーターカフ)が支えながら大きく動かしています。中でも棘下筋・小円筋は肩関節を外旋させる働きを、棘上筋は腕を外側に持ち上げる初動を担っており、水の抵抗を受けながら何千回、何万回と繰り返し収縮させられることになります。この負荷が積み重なると、これらの筋肉は硬くこわばり、血流が悪くなった状態が慢性化していきます。
特に棘下筋・小円筋は、肩甲骨の外側、肩甲骨と腕の骨をつなぐようにして存在するため、ここが硬くなると腕を後方や上方に持っていく動作そのものが制限されます。泳いでいるときの「肩が入らない」「リカバリーで腕が上がりにくい」という感覚の裏には、この硬さが隠れていることがよくあります。
実は「内側」を縮めすぎていることが原因になっている
興味深いのは、棘下筋・小円筋といった外旋筋の硬さの多くが、実はその反対側の筋肉、つまり肩関節を内側にひねる内旋筋群(肩甲下筋・大胸筋・小胸筋)の短縮によって引き起こされているという点です。水泳のプルやキャッチの動作は、腕を体の内側に強く引き込む内旋の動きが中心になります。この内旋動作を繰り返すことで大胸筋や肩甲下筋が縮こまったまま硬くなると、その反対の動きを担う棘下筋・小円筋は、伸ばされながら踏ん張り続けるという、いわば「エキセントリック収縮」を強いられ続けることになります。
これは水泳に限った話ではなく、デスクワークで前かがみの姿勢が続く人の巻き肩・猫背のメカニズムとも共通しています。前側の筋肉が縮こまることで、後方・外側の筋肉が引き伸ばされながら疲労し続け、結果として痛みや張りとして自覚される。スイマーズショルダーの施術では、痛みの出ている棘下筋・小円筋だけでなく、その原因になっている肩甲下筋・大胸筋・小胸筋という「内側の硬さ」まで見ていくことが欠かせません。
深層筋鍼治療によるアプローチ
当院では、痛みが出ている棘下筋・棘上筋・小円筋はもちろん、その原因となっている肩甲下筋・大胸筋・小胸筋の深層まで、長く太い鍼で直接アプローチしていきます。特に肩甲下筋は肩甲骨の内側(肋骨側)に位置する深いインナーマッスルで、表面からのマッサージやストレッチではなかなか届きません。この深部に鍼を通し、線維化して硬くなった筋線維に機械的な刺激を加えることで、組織の入れ替わりを促していくのが北京堂浅野式の深層筋鍼治療です。
慢性的にオーバーユースが続いた筋肉は、慢性的な虚血と炎症の繰り返しによって、しなやかな筋線維が弾力の乏しいコラーゲン組織へと置き換わっていきます。これが線維化です。線維化した組織は、休息やアイシング、通常のストレッチだけではなかなか変化を起こせません。「シーズンオフに休んでも、泳ぎ始めるとまた同じ場所が痛む」という方の多くが、この線維化した深部組織にアプローチできていないまま繰り返し痛めていることが背景にあります。
施術では、他の鍼灸治療と比べて強い刺激を用いること、そして置鍼を行うことが当院の特徴です。鍼を一定時間留め置くことで、刺激された神経領域を通じて軸索反射が働き、その部位の血流改善や鎮痛効果がしっかりと波及する時間を確保できます。単発の刺鍼だけでは得られない効果であり、北京堂浅野式の根幹をなす考え方です。狙った筋肉に鍼が届くと、じんわりとした重さや響くような感覚(得気・とっき)が生じます。これは鍼が正確に深層まで届いている証拠でもあります。
自分でできるセルフケア
- 胸を開くストレッチ:ドア枠や壁に前腕を当て、体を反対方向にゆっくり開くようにして大胸筋・小胸筋を伸ばします。泳ぐ前後の軽いウォームアップ・クールダウンとして取り入れやすい方法です。
- タオルを使った肩甲骨まわりの運動:タオルの両端を持ち、肩幅より少し広めに構えて後方に引く動作をゆっくり繰り返す。棘下筋・小円筋を含めた外旋筋群を軽く働かせ、血流を促します。
ただし、これらのセルフケアで届くのはあくまで表層です。すでに硬く線維化してしまった深部の組織まで変化させるには限界があります。「休んでも治らない」「フォームを直しても再発する」という状態が続いているなら、一度、肩の深層筋の状態を診てもらうことをおすすめします。
投球障害やバレーボールの肩とも共通する土台
回旋筋腱板への負担という意味では、野球の投球動作、バレーボールのスパイクやサーブ、バタフライで肩を大きく使う動作など、頭上で腕を振る競技はいずれも似たメカニズムで肩を痛めやすい傾向があります。当院にはこうしたオーバーヘッド動作を伴うスポーツをされている方も多く来院されており、内旋筋群と外旋筋群のバランスという視点は、水泳に限らず幅広い肩の痛みに共通して活用しています。
那覇市首里の北京堂鍼灸首里いじゅ治療院について
当院は那覇市首里で、硬い筋肉の凝りによる症状を専門に施術している鍼灸院です。施術者の伊集和重は鍼灸師歴18年、施術回数3万5000回以上。長く太い鍼で深層筋・線維化した筋肉へ直接アプローチする深層筋鍼治療を行っています。那覇市内はもちろん、浦添・宜野湾・糸満・豊見城からもご来院いただいています。
水泳を思いっきり楽しみたいのに、肩の痛みでセーブしてしまっている方。フォームを見直しても変わらない痛みでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
泳ぎ方によって痛みの出方が変わる理由
クロールでは、キャッチからプルにかけての腕を強く内側に引き込む局面で肩甲下筋・大胸筋への負担が集中します。バタフライは両腕を同時に大きく使うため、内旋・外旋どちらの負担も強く、肩全体への負荷が高い泳法です。平泳ぎは腕の動き自体は小さいものの、あおり足を含めた体幹の連動が乱れると、代償的に肩や首まわりに力みが生まれやすくなります。トライアスロンをされている方の場合は、長距離を一定のフォームで泳ぎ続けることになるため、わずかなフォームのクセが積み重なって、片側だけ痛みが強く出るケースもよく見られます。
「痛みが出るのは決まって同じ局面」という方は、その局面でどの筋肉が最も働かされているかを考えると、原因の見当がつきやすくなります。当院ではこうした競技特性も踏まえながら、痛みの出ている場所だけでなく、その動作全体を支えている筋肉の連動まで含めて評価するようにしています。
陸上での姿勢も関係している
普段デスクワークで前かがみの姿勢が長い方、スマートフォンを見る時間が長い方は、そもそも大胸筋・小胸筋が短縮しやすい生活を送っています。この土台があるところに水泳の内旋動作が加わると、肩甲下筋・大胸筋・小胸筋の短縮がより進みやすくなり、結果として棘下筋・小円筋への負担も大きくなります。陸上での姿勢と水中でのフォーム、どちらか一方だけを見直しても改善しきらないのは、こうした背景があるためです。
肩甲上神経の圧迫にも注意
棘上筋・棘下筋を支配しているのは肩甲上神経です。この神経は肩甲骨にあるくぼみ(肩甲切痕・棘窩切痕)を通過するため、棘上筋・棘下筋が慢性的に硬くなると、この通り道が狭くなり、神経が締め付けられることがあります。すると単なる筋肉痛のような鈍い痛みだけでなく、肩の奥にジンジンとした響くような痛みや、腕を動かしたときの力の入りにくさを感じることもあります。「筋肉痛にしては痛みの質が違う」と感じる場合は、この神経の関与も考えられます。
他の治療との違い
整形外科での湿布や消炎鎮痛剤、電気治療は急性期の炎症を抑える上で有効です。マッサージや整体も表層の血流改善には効果が期待できます。ただ、肩甲下筋のように深い位置にあるインナーマッスルまで直接変化を起こすのは、表層からのアプローチだけでは難しいのが実情です。当院の深層筋鍼治療は、長く太い鍼でこの深さまで直接届かせられることが最大の違いです。「湿布を貼っても変わらない」「マッサージに通っても数日で戻る」という方にこそ、試していただきたいアプローチです。
よくある質問
- Q. 試合や大会の直前でも施術を受けて大丈夫ですか?
A. 強い刺激を伴う施術のため、大会が近い場合は刺激量を調整しながら進めます。事前にスケジュールをお伝えいただければ、コンディションを見ながら計画的に施術していきます。 - Q. 何回くらい通えば変化を感じられますか?
A. 症状の慢性度によって個人差はありますが、深部の硬さや線維化にアプローチしていくため、数回の施術を通じて変化を実感される方が多くいらっしゃいます。
水泳を思いきり楽しみたいのに、肩の痛みが気になって力を出し切れない。そんな状態から抜け出すために、フォームだけでなく、体の中の深い筋肉にも目を向けてみませんか。那覇市首里の北京堂鍼灸首里いじゅ治療院で、お待ちしています。