ゴルフのスイング後、肘の内側がズキッとする。グリップを握るだけで痛い。那覇でゴルフを楽しむ方から、そんなゴルフ肘(内側上顆炎)の相談をよく受けます。今日はゴルフ肘について、肘だけでなく肩・上腕まで含めた深層筋の視点からお伝えします。
ゴルフスイングが肘の内側に負担をかける理由
ゴルフのダウンスイングからインパクトにかけて、リード側の前腕は手首を掌屈・回内させる動きを繰り返します。この動きに関わる円回内筋・橈側手根屈筋など前腕の屈筋群は、内側上顆(肘の内側の骨の出っ張り)に付着しているため、繰り返しの負荷でこの付着部に炎症が起こりやすくなります。これがゴルフ肘の一般的な説明です。
実は前腕より大事な場所がある
ここが大事なところですが、前腕の屈筋群だけを診ていても、なかなか根本的には良くならないケースが多いというのが臨床での実感です。肘の内側に痛みが出るゴルフ肘・野球肘では、前腕の深層筋群はもちろん大事ですが、それ以上に重要なのが肩関節を内側にひねる筋肉、つまり大胸筋・小胸筋・肩甲下筋という内旋筋群と、上腕二頭筋・上腕筋の状態です。
肩の内旋筋群(大胸筋・小胸筋・肩甲下筋)が硬いとどうなるか
スイングやスローイング動作では、本来、肩関節の内旋(腕を内側にひねる動き)がしっかり使われることで、腕全体の力がスムーズに伝わります。ところが大胸筋・小胸筋・肩甲下筋が硬く縮んでいると、肩の内旋可動域が制限されます。すると本来肩が担うべき動きの一部を、肘から先の関節・筋肉が代償的に引き受けることになり、肘の内側にかかる負担が増えてしまうのです。デスクワークやスマートフォンの操作で腕を体の前に出す姿勢が続く方は、この内旋筋群が慢性的に短縮しやすく、ゴルフや野球で急に負荷がかかったときに症状が出やすくなります。
上腕二頭筋・上腕筋の線維化も見逃せない
肘関節を曲げる働きを持つ上腕二頭筋・上腕筋が線維化して硬くなっていると、肘関節まわりの動きがスムーズに行えなくなります。その結果、前腕屈筋群・円回内筋など、肘関節周囲の筋肉に負担が集中しやすくなります。線維化というのは、慢性的な血流不足と炎症の繰り返しによって筋肉の組織がコラーゲン線維に置き換わり、弾力を失っていく状態のこと。硬くなった上腕二頭筋・上腕筋は、まるでビーフジャーキーのように弾力がなく、周囲の関節運動を制限してしまいます。
こんな場面で痛みが出やすい
- ゴルフのダウンスイング〜インパクトの瞬間
- タオルを絞る、ペットボトルの蓋を開けるなど手首をひねる動作
- 重い荷物を持ち上げる、ドアノブを回す動作
- 野球であれば投球のリリース〜フォロースルーの局面
肘だけを診ても治りにくい理由
正直なところ、肘の内側だけをマッサージしたり湿布を貼ったりしても、一時的には楽になっても、練習を再開するとすぐに元に戻ってしまう方が少なくありません。これは、痛みの出ている肘そのものではなく、肩の内旋筋群や上腕の屈筋群という、負担を生み出している上流の筋肉が硬いまま残っているためです。肘だけでなく、肩・上腕まで含めた全体構造で評価することが、繰り返すゴルフ肘を断ち切るポイントになります。
深層筋鍼治療でのアプローチ
北京堂鍼灸首里いじゅ治療院では、長く太い鍼を使い、大胸筋・小胸筋・肩甲下筋、上腕二頭筋・上腕筋の深層、そして前腕の屈筋群まで、体格や筋肉量に合わせて鍼の長さを調整しながら直接アプローチします。一般的な鍼灸治療に比較して強い刺激を使い、置鍼を行います。これは軸索反射という反応を十分に引き出すためで、鍼を刺しただけでは得られない血流改善・鎮痛効果を狙うものです。
肩甲下筋は肩甲骨の内側、肋骨側に位置する深いインナーマッスルで、表面的な施術では届きにくい場所です。得気(とっき)と呼ばれる、じんわりとした重みのある感覚を感じていただくことが、鍼が目的の筋肉に届いている目安になります。施術の流れとしては、まず肘・肩の可動域と痛みが出る動作を確認したうえで、肩の内旋筋群・上腕の屈筋群・前腕の順に刺鍼し、そのまま一定時間置鍼します。
セルフケアでできること
練習前後は、腕を体の後ろに回して胸を開くストレッチで大胸筋・小胸筋を伸ばすこと、そして肘を伸ばした状態で手のひらを上に向け、反対の手で指先を下に軽く引いて前腕屈筋群を伸ばすことが有効です。それぞれ20〜30秒、痛みが出ない範囲で行ってください。ただし、肩や上腕の深層まで硬くなっている場合、ストレッチだけでは限界があるのが実際のところです。
受診の目安
安静にしていても痛みが引かない、腫れや熱感が強い、といった場合は、まず整形外科で骨や靭帯に異常がないか確認することをおすすめします。ゴルフ肘・野球肘と診断された、あるいは画像上は問題ないのに痛みが続くという方に、肩・上腕まで含めた深層筋からのアプローチは特に力を発揮します。
まとめ
ゴルフ肘・野球肘で肘の内側に痛みが出る場合、前腕の筋肉だけでなく、肩関節を内旋させる大胸筋・小胸筋・肩甲下筋、そして上腕二頭筋・上腕筋の線維化まで含めて診ることが、根本改善への近道です。那覇でゴルフ肘を繰り返してお悩みの方は、一度、肘だけでなく肩・上腕まで診る深層筋鍼治療を試してみてください。