整骨院に何年も通っても消えなかった「目の奥の頭痛」。那覇のある患者さんの話
「もう10年近く、整骨院とマッサージを行ったり来たりしています」。那覇市内で事務のお仕事をされている40代の女性の患者さんが、当院に初めて来られたときに話してくれた言葉です。週に何度か頭が締め付けられるように痛み、特につらいのは目の奥がズーンと重くなる感覚。眼科を受診しても「異常なし」、頭痛外来で処方された薬も、飲めばその場は楽になるものの、根本的には変わらないまま何年も過ごしてきたそうです。
ご紹介するのは、その患者さんが当院で施術を受けるようになってからの経過です。個人が特定されないよう一部内容を調整していますが、実際の臨床の流れに基づいています。長年同じような悩みを抱えている方の参考になればと思います。
「目が疲れているだけ」だと思っていた
その方は最初、自分の症状を「頭痛」ではなく「目の疲れ」だと思っていたそうです。パソコン作業が1日8時間近くに及ぶ日も多く、夕方になると目の奥がズーンと重く、こめかみのあたりまで鈍い痛みが広がる。市販の目薬をさしても変わらず、老眼が始まったのかとも思ったけれど、眼科では「目自体には問題ありません」と言われるばかり。整骨院では肩や首をほぐしてもらい、その場では軽くなるものの、数日経つとまた同じ重さが戻ってくる。そんな状態を繰り返していました。
実は「首の奥の筋肉」からきていた痛み
当院で丁寧にお話を伺い、後頭部の際を触診したところ、後頭下筋群(大後頭直筋・小後頭直筋・上頭斜筋・下頭斜筋という4つの筋肉の総称)に強い硬さが見つかりました。後頭下筋群は頭蓋骨のすぐ下、深い位置にある筋肉群です。ここが慢性的に硬くなると、一般によく知られる「頭全体が締め付けられる」緊張型頭痛や、後頭部にズキズキ・ピリピリとした痛みが出る後頭神経痛だけでなく、「目の奥が凝ってつらい」「眼球の奥が重い」という訴え方をする頭痛を引き起こすことがあります。
後頭下筋群は表面から遠い深い場所にあるため、痛みの発生源が後頭部であっても、体の感覚としては目の裏側が痛むかのように感じられるのです。この患者さんが眼科で「異常なし」と言われ続けていたのも、無理はなかったのだと思います。目そのものではなく、首の奥の筋肉が原因だったのですから。
なぜ整骨院やマッサージでは変わらなかったのか
整骨院やマッサージでの施術は、首や肩の表層の筋肉をほぐすことには効果的です。ただ、後頭下筋群のように頭蓋骨のすぐ際、深い位置にある筋肉までは、手技の圧だけでは十分に届きにくいという特徴があります。その方も「押してもらうと気持ちいいけれど、奥の方に芯のような硬さが残っている感じがずっとあった」と話していました。まさにその「芯」が、後頭下筋群の慢性的な硬さだったのだと考えられます。
深層筋鍼治療でのアプローチ
当院では、長く太い鍼を使い、後頭下筋群のような深部の筋肉へ直接アプローチします。デスクワークで長年蓄積してきた首の奥の硬さは、慢性化するほど筋線維がコラーゲン組織に置き換わる線維化という状態に近づいていきます。線維化した組織は血流が悪くなり弾力を失うため、通常のマッサージや温熱だけでは変化を感じにくくなります。当院ではこの線維化した組織そのものに機械的な刺激を加え、こり固まった筋線維をほぐし、組織の入れ替わりを促す特殊な刺鍼法を用います。何年も変わらなかった症状にこそ、このアプローチが力を発揮します。
この患者さんの施術でも、当院では一般的な鍼灸院より強めの刺激を用い、鍼を留置する置鍼を行っています。置鍼によって軸索反射という神経の反射がしっかりと引き出され、刺激された神経領域の血流改善効果が十分に波及する時間を確保できます。初回の施術後、「目の奥の重さがこんなに軽くなるとは思わなかった」と驚いた様子で話してくれたのを覚えています。
刺鍼中の感覚について不安を口にする方も多いのですが、この患者さんも最初は「痛いのではないか」と緊張していました。実際には、鍼が正しい深さに届いたときに感じる「得気(とっき)」と呼ばれるズーンとした重だるいような独特の感覚があり、これは組織へのダメージというより、むしろ効いている手応えに近いものです。刺激の強さは体調やその日の状態に合わせて調整できますので、初めての方でも安心して受けていただけます。
デスクワークと後頭下筋群の関係
パソコン作業やスマートフォンの使用、読書、運転など、目を酷使しながら細かい作業を続ける時間が長い人ほど、後頭下筋群は緊張しやすくなります。無意識のうちに画面に集中して首がわずかに前に出た姿勢が続くと、後頭下筋群は頭の重さを支えようと常に働き続けることになり、やがて線維化した硬さへとつながっていきます。「目薬をさしても変わらない」「眼科では異常なしと言われた」という目の奥の不調がある方は、首の奥の筋肉が原因になっている可能性を、一度考えてみていただきたいと思います。
大後頭神経の圧迫という、もうひとつの視点
後頭下筋群のすぐそばには、大後頭神経(だいこうとうしんけい)という神経が通っています。この神経が周囲の硬くなった筋肉に圧迫されると、後頭部にズキズキ、あるいはピリピリとした電気が走るような痛みが生じることがあります。この患者さんの場合、目の奥の重さに加えて、頭皮を触られると痛む「アロディニア」に近い感覚も併せ持っていました。これも大後頭神経の圧迫による特徴的な症状のひとつです。初めてこの話をしたとき、「まさか神経の圧迫だったなんて」と驚かれていたのを覚えています。
天気が悪い日に頭痛が強くなるという訴えも
お話を伺っていく中で、「台風が近づくと決まって頭痛がひどくなる」という訴えもありました。気圧の変化による頭痛にはいくつかの説がありますが、当院では、気圧が下がることで体内の圧力バランスが変化し、すでに硬く凝って血流が悪くなっている部分ほど、相対的に血液が届きにくくなり痛みが強まる、という考え方も参考にしています。普段から後頭下筋群のような首の深層筋が硬く線維化している人ほど、気圧の変化の影響を受けやすい体になっているとも言えます。この患者さんも、施術を重ねる中で「台風のたびに寝込むほどだったのが、今はそこまでひどくならなくなった」と話してくれるようになりました。
施術を重ねる中での変化
初回の施術では、後頭下筋群を中心に、頸部の脊柱起立筋、そして肩から背中にかけての凝りにも合わせてアプローチしました。1回目の施術直後から目の奥の重さがかなり軽くなったものの、翌日には元の重さの半分程度まで戻ってしまったそうです。これは慢性化して線維化が進んだ筋肉ではよくあることで、一度の施術で完全に変化が定着するわけではありません。週に一度のペースで通っていただき、3回目を過ぎたあたりから「戻り方が緩やかになってきた」という変化が出始め、1ヶ月半ほど経った頃には、以前のように毎日頭が重いという状態はほとんどなくなっていました。
本人いわく「治療を続けるうちに、そもそも自分がどれだけ首の奥が硬かったのか、施術を受けて初めて気づいた」とのことでした。慢性的な症状を抱えている方の多くは、その状態に体が慣れてしまい、硬さそのものを自覚できなくなっていることが少なくありません。
ご自宅でできるセルフケア
後頭下筋群のセルフケアとして、両手を後頭部の生え際あたりに当て、頭の重みを利用してゆっくり下を向くストレッチがおすすめです。首の後ろから後頭部にかけての伸びを感じながら15秒ほどキープしてください。デスクワークの合間、1時間に一度程度行うだけでも、蓄積を多少和らげる効果が期待できます。ただし、それでも「毎日ケアしているのにすぐ元に戻る」という状態であれば、それは深部の線維化が進んでいるサインかもしれません。
「頭痛」とひとくくりにできない症状の出方
頭痛と一口に言っても、頭全体が締め付けられる緊張型頭痛、ズキンズキンと脈打つように痛む片頭痛、後頭部にピリピリとした痛みが走る後頭神経痛、そしてこの患者さんのような目の奥の重さを訴える眼窩深部の痛みなど、出方はさまざまです。当院では、どのタイプの痛みであっても、まずは首から後頭部にかけての深層筋の状態を丁寧に確認するところから始めます。表面的な痛みの場所だけで判断せず、その奥にある筋肉の硬さまで診ることが、根本的な変化につながる第一歩だと考えているからです。
那覇市首里で長引く頭痛にお悩みなら
この患者さんは、現在も月に一度のメンテナンスで来院されており、「以前のような目の奥の重さはほとんど感じなくなった」と話してくれています。何年も整骨院やマッサージ、薬に頼りながら過ごしてきた頭痛が、首の奥の筋肉へのアプローチで変わることがあります。北京堂鍼灸首里いじゅ治療院は那覇市首里にあり、浦添・宜野湾・糸満・豊見城からも多くの患者さんにお越しいただいています。長引く頭痛、目の奥の重さでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。