こめかみの頭痛、実は側頭筋の線維化かもしれません|食いしばりと肩の緊張との関係
那覇市首里の「北京堂鍼灸首里いじゅ治療院」院長の伊集和重です。「こめかみのあたりがズキズキする」「こめかみを押すと痛い」という頭痛、実は後頭部の頭痛とは原因がまったく違います。今回はこめかみに出る頭痛について、なぜそこが痛むのか、その仕組みから詳しく説明していきます。
こめかみ頭痛の正体は「側頭筋」の線維化
こめかみからその上の側頭部にかけて広がっているのが側頭筋です。側頭筋は下顎骨についていて、物を噛む・歯を食いしばるときに強く働く筋肉で、耳の上から扇状に広がっています。この側頭筋が慢性的に緊張し続けると、線維化という状態に変化していきます。線維化とは、慢性的な血流不足と炎症が繰り返されることで、筋肉の組織がコラーゲン主体の硬い組織に置き換わってしまうことです。硬くなった側頭筋は、まるでビーフジャーキーのように弾力を失い、こめかみを押すとゴリゴリした硬さや圧痛を感じるようになります。この状態が、こめかみのズキズキとした痛みや、締め付けられるような重だるさの正体です。
ストレスによる食いしばり・かみしめが引き金に
側頭筋がここまで硬くなる背景には、無意識の食いしばり・かみしめが強く関わっています。パソコン作業に集中しているとき、緊張する場面、車の運転中、あるいは睡眠中の歯ぎしり(ブラキシズム)など、私たちは思っている以上に日常の中で歯を強く噛みしめています。側頭筋は下顎を引き上げて歯を閉じるための主力筋のひとつなので、噛みしめる回数・強さが増えるほど、休む間もなく働き続けることになります。
咀嚼筋を支配しているのは三叉神経の運動枝です。緊張やストレスが続くと、この神経を介して咀嚼筋への指令そのものが過敏になり、無意識のうちに噛みしめてしまう悪循環に入ることもあります。「気づいたら奥歯を強く噛んでいた」という方は、この悪循環にはまっているサインかもしれません。
見落とされがちな「肩の緊張」との連動
ここが当院の臨床経験からお伝えしたいポイントなのですが、こめかみの頭痛が強い方は、側頭筋だけでなく三角筋(肩関節を覆う筋肉)も一緒に硬くなっていることが非常に多いです。人は強いストレスや緊張を感じたとき、無意識に歯を食いしばると同時に、肩をぐっとすくめるような防御反応を起こします。この「食いしばり」と「肩をすくめる」動作はセットで起こりやすく、結果として側頭筋と三角筋が同時に緊張状態を強いられることになります。
こめかみの頭痛の施術で側頭筋だけをほぐしても、肩の緊張が残ったままだと、噛みしめの癖自体が戻りやすく、痛みも再発しやすくなります。当院では、こめかみの痛みを訴える患者さんには、側頭筋と合わせて三角筋、そして肩まわり全体の緊張も必ず確認するようにしています。
自宅でできるセルフケア
①側頭筋のセルフマッサージ
両手の指の腹をこめかみに当て、円を描くように優しく圧をかけながらマッサージします。強く押しすぎず、気持ちいいと感じる強さで1〜2分。お風呂上がりなど、筋肉が温まっているタイミングで行うとより効果的です。
②あごの力を抜くリラックス法
上下の歯を軽く離し、舌を上あごに軽く触れさせたまま、口をポカンと開けた状態を意識的に作ります。デスクワーク中、1時間に1回思い出したときにこれを行うだけで、無意識の食いしばりに気づきやすくなります。
③肩をすくめて脱力するストレッチ
両肩を耳に近づけるように大きく引き上げ、3秒キープしたあと一気にストンと脱力します。これを5回ほど繰り返すことで、三角筋や僧帽筋の緊張もあわせて緩めることができます。
ただし、慢性的に線維化してしまった側頭筋の深部までは、セルフケアだけではなかなか届きません。ストレッチやマッサージで一時的に楽になっても、数日でまた元の硬さに戻ってしまうという方は、より深いアプローチが必要なサインです。
なぜ深層筋鍼治療が有効なのか
当院では、長く太い鍼を使い、線維化して硬くなった側頭筋そのものに直接アプローチします。表面的なマッサージでは届かない筋線維の深部まで鍼先を届かせることで、こり固まった組織をほぐし、血流と組織の入れ替わりを促していきます。一般的な鍼灸治療に比較して強い刺激を使い、置鍼を行います。置鍼とは、鍼を刺した状態で一定時間そのまま留置しておく方法で、軸索反射という体の仕組みを最大限に活かすために、北京堂浅野式では必須の要素として位置づけています。鍼を留置することで、刺激された神経領域に血流改善・鎮痛の効果がじっくりと波及していく時間を確保できるのです。
また、こめかみだけでなく三角筋・肩まわりまで含めてセットで施術することで、食いしばりの癖そのものが戻りにくい体を目指していきます。
こんな場合は医療機関の受診を
今回紹介した内容は、慢性的な緊張・食いしばりによるこめかみの頭痛を想定したものです。もし、今まで経験したことのない突然の激しい頭痛や、視覚の異常、手足のしびれ・麻痺、ろれつが回らないといった症状を伴う場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。また、強い顎の痛みや口の開けづらさがある場合は、顎関節症の可能性もあるため、あわせて歯科・口腔外科への相談もおすすめします。
おわりに
こめかみの頭痛は、後頭部の頭痛とは違う原因、側頭筋の線維化と食いしばり、そして肩の緊張から来ていることが多くあります。マッサージや市販薬でその場をしのいでいる方は、一度深層筋そのものにアプローチする鍼治療を試してみてください。那覇市首里の「北京堂鍼灸首里いじゅ治療院」では、鍼灸師歴18年、施術回数3万5000回以上の経験をもとに施術を行っています。那覇市内はもちろん、浦添・宜野湾・糸満・豊見城からも多くの方にご来院いただいています。こめかみのしつこい頭痛にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。