「朝、指がしびれて目が覚める」手根管症候群からの回復ストーリー
台風シーズンが続く沖縄の8月、湿気で体がだるくなる方が増える時期ですが、それとは別に「夜中から明け方にかけて手のしびれで目が覚める」というご相談も増えてきます。今回は、当院に実際によくいらっしゃる手根管症候群のパターンを、来院前から改善までの流れに沿ってご紹介します。
来院前―「更年期かも」「歳のせい」と思い込んでいた日々
那覇市内で事務のお仕事をされている40代の女性の例です。半年ほど前から、親指・人差し指・中指、そして薬指の半分にかけてジンジンとしたしびれを感じるようになりました。特につらいのは明け方で、しびれで目が覚めて手を振ると少し楽になるものの、朝は指がこわばってペットボトルの蓋も開けにくいほどだったといいます。整形外科では手根管症候群と診断され、湿布と装具を勧められましたが、日中はパソコン作業で装具を外さざるを得ず、なかなか改善を実感できないまま来院されました。
手根管症候群とは―正中神経が圧迫されるメカニズム
手首の手のひら側には「手根管」と呼ばれるトンネル状の構造があり、その中を正中神経と、指を曲げるための複数の腱(浅指屈筋腱・深指屈筋腱・長母指屈筋腱など)が一緒に通っています。パソコン作業やスマートフォンの操作、家事などで手首を酷使すると、この手根管周囲の組織が硬くなり、トンネルの中が窮屈になります。すると中を通る正中神経が圧迫され、親指から薬指の親指側にかけてのしびれや、進行すると母指球(親指の付け根の膨らみ)の筋力低下が起こります。整形外科的には「使いすぎ」「更年期のホルモン変化」などが原因として説明されますが、当院で触診すると、多くの方で前腕の深層にある回内筋群や指を曲げる深層の腱周囲の組織が、驚くほど硬く変性しています。
施術―前腕の深層まで届く鍼で、手首のトンネルの外側から緩める
この患者さんの前腕を触診したところ、手首から肘にかけての深層筋腱に、まるで乾いた革のような硬さが見つかりました。これは、長期間の負担によって筋線維が線維化――本来の柔らかさを失い、コラーゲン組織へと置き換わるように硬く変性してしまった状態です。線維化は慢性的な血流不足と、軽い炎症が繰り返されることで進行します。表面をマッサージしたりストレッチしたりするだけでは、この深層の変性組織にはなかなか変化を起こせません。
そこで当院では、長い鍼を使い、前腕深層の硬結部分に直接アプローチしました。手首の手根管そのものに強い刺激を加えるのではなく、その上流にあたる前腕の屈筋群、特に深指屈筋・長母指屈筋の走行に沿って、硬くなっている部分を丁寧に探りながら刺鍼していきます。当院では一般的な鍼灸院より強めの刺激を用い、鍼を留置する置鍼を行っています。鍼を一定時間留置するのは、軸索反射という神経を介した反応を十分に引き出すためで、単発の刺鍼だけでは得られない血流改善・鎮痛効果を狙う、北京堂浅野式の核となる考え方です。初回の施術後、患者さんからは「刺激は強かったけれど、終わった後に腕が軽くなった感覚があった」との感想をいただきました。
変化―3回目の施術後、明け方のしびれで目が覚めなくなった
週1回のペースで施術を重ね、3回目が終わった頃には「ここ数日、しびれで目が覚めていない」というご報告をいただきました。朝のこわばりも軽減し、ペットボトルの蓋も普通に開けられるようになったとのことです。もちろん全ての方が同じ経過をたどるわけではありませんが、前腕の深層に原因があるケースでは、このように比較的早い段階で変化を実感される方が多い印象です。
セルフケア―手首を反らさない工夫と前腕のストレッチ
ご自宅では、まず前腕屈筋群のストレッチをおすすめしています。腕を前に伸ばし、手のひらを上に向けた状態で、反対の手で指先を下に軽く引っ張り、前腕の内側が伸びる感覚を10〜20秒キープします。もうひとつは、パソコン作業中の手首の角度に気をつけること。手首を反らせた状態でタイピングを続けると手根管内の圧が上がりやすいため、リストレストを使うなどしてなるべく手首がまっすぐな状態を保つよう意識してみてください。ただし、すでにしびれが強く出ている場合、セルフケアだけで深層の変性組織を変えるのは難しいことが多く、専門的なアプローチが必要になります。
那覇・首里で手のしびれにお悩みなら
北京堂鍼灸首里いじゅ治療院では、施術者歴18年・施術回数3万5000回以上の伊集和重が、長く太い鍼で前腕深層の線維化した組織へ直接アプローチしています。那覇市内はもちろん、浦添・宜野湾・糸満・豊見城方面からもご来院いただいています。「歳のせい」「更年期のせい」と諦める前に、一度深層筋の状態を見せてください。手首だけでなく前腕まで含めて診ることが、当院ならではの視点です。