変形性股関節症と診断されても、歩けなくなるとは限らない|那覇のある患者さんの話

変形性股関節症と診断されても、歩けなくなるとは限らない|那覇のある患者さんの話

「那覇 変形性股関節症 鍼灸」と検索してこの記事を開いた方の中には、病院で診断を受けて不安な気持ちを抱えている方も多いと思います。今日は、当院に来られたある患者さんの経過を通して、変形性股関節症とどう向き合っていけばいいのか、深層筋鍼治療がどんな役割を果たせるのかをお伝えします。個人が特定されないよう年齢や一部の状況は加工していますが、実際の経過に基づいた内容です。

「そのうち歩けなくなる」と言われて

その患者さんは50代の女性で、数年前から股関節の奥に違和感を覚えていました。整形外科で変形性股関節症と診断され、「軟骨がすり減っている、将来的には手術も視野に」と言われたそうです。歩き始めに股関節の奥がズキッとする、長く歩くと足を引きずるようになる、階段の上り下りがつらい。買い物のあと、駐車場までの数十メートルが以前よりずっと遠く感じるようになったと話してくれました。そんな状態で、藁にもすがる思いで当院にいらっしゃいました。

初めてお会いした時、その方はとても不安そうな表情をしていました。「痛み止めを飲みながら騙し騙し過ごすしかないんでしょうか」「このまま手術になったらどうしよう」。そんな言葉が印象に残っています。正直、変形性股関節症という診断名だけを見ると、確かに不安になる気持ちはよくわかります。ただ、実際に股関節の周りを触診してみると、骨の変形だけでは説明がつかないほど、腸腰筋・小殿筋・深層外旋六筋が硬く縮こまっていました。

股関節の痛みは骨だけの問題ではない

変形性股関節症は関節の軟骨がすり減ることで起こる病気ですが、痛みの強さや動きにくさは、骨の変形の程度だけで決まるわけではありません。股関節の周囲には腸腰筋・小殿筋をはじめ、多くの筋肉が立体的に絡み合っており、これらの筋肉が硬く縮こまることで関節の動きがさらに制限され、痛みが強く感じられるようになっているケースが非常に多いのです。腸腰筋は腰椎から大腿骨の内側に付着し、股関節を曲げる動作の主役になる筋肉です。この筋肉が短縮していると、骨盤が前に引っ張られて股関節の前方にストレスが集中し、変形性股関節症の痛みを増幅させる要因になります。小殿筋は股関節を横に開く・安定させる働きを持ち、ここが硬くなると歩行時に骨盤が左右に大きく揺れる「トレンデレンブルグ様」の歩き方になりやすく、それがさらに股関節への負担を増やすという悪循環を生みます。股関節周囲には大腿神経・閉鎖神経・坐骨神経といった太い神経も走行しており、周囲の筋肉が硬く腫れぼったくなることでこれらの神経が圧迫されやすくなり、鼠径部の違和感や太もも前面のだるさ、時にはお尻から太もも裏にかけての坐骨神経痛のような症状として現れることもあります。この患者さんも、股関節の痛みだけでなく、長時間座った後に立ち上がる際の太もも前面のつっぱり感を訴えていました。

沖縄の車社会という背景

この患者さんも、長年車移動が中心の生活でした。沖縄は車社会で、長時間の運転や渋滞での停止発進が日常です。車を運転する姿勢は股関節を軽く曲げたまま固定する姿勢で、この状態が長時間続くと腸腰筋・大腿四頭筋が短縮しやすくなります。さらに車への乗り降りの動作自体も、股関節を大きく屈曲・外転・回旋させる負担の大きい動きで、これを毎日何度も繰り返すことになります。「歩かない生活」が下肢全体の筋ポンプ機能を低下させ、股関節周囲の血流不足・筋肉の硬化を進めてしまう。この患者さんの生活パターンを聞いた時、まさにこの悪循環にはまっていることがわかりました。大腿四頭筋は人体でも特に大きな筋群のひとつで、長時間の運転・座位によって慢性的に短縮・硬化しやすい部位です。この硬さは膝蓋骨の動きを制限して膝の違和感につながるだけでなく、大腿前面の牽引力を通じて股関節への前方ストレスをさらに増大させます。「歩かない文化」という言葉は少し極端かもしれませんが、車移動が当たり前の沖縄では、下肢全体の筋ポンプ機能が働く機会そのものが少なくなりがちで、それが股関節周囲の血流不足・硬化を静かに進めてしまう一因になっていると感じています。

深層外旋六筋の関わりも見逃せない

股関節の奥深くには、梨状筋・上双子筋・下双子筋・内閉鎖筋・外閉鎖筋・大腿方形筋という6つの筋肉、いわゆる深層外旋六筋があります。これらが縮んでいる場合はガニ股気味に股関節が外に開き、骨盤が後ろに傾いて背中が丸まりやすくなります。逆にこれらが弱っている場合は内股気味になり、骨盤が前に傾いて反り腰に発展しやすくなります。どちらのパターンも股関節の動きをロックしてしまい、変形性股関節症の症状を悪化させる方向に働きます。この患者さんは、股関節の外旋筋群にも強い硬さがあり、動きのロックが痛みを増幅させている一因になっていました。

実際の施術で行ったこと

初回の触診で、腸腰筋・小殿筋・深層外旋六筋のいずれにも強い硬さと圧痛がありました。特に大腰筋は第4腰椎あたりの深部で硬結が強く、腸骨筋も骨盤の内壁に沿って広い範囲で緊張していました。当院では長く太い鍼を使い、腸腰筋には大腰筋・腸骨筋それぞれにアプローチできる体位・角度で刺鍼し、小殿筋・深層外旋六筋にも骨盤周囲の深部まで届く鍼で対応しました。他の鍼灸治療と比べて強い刺激を用いること、そして置鍼を行うことが当院の特徴です。線維化して硬くなった筋肉に機械的な刺激を加え、置鍼によって軸索反射を引き出すことで、刺激した範囲の血流改善効果をじっくり波及させていきます。1回で劇的に変わるわけではありませんが、施術を重ねるごとに股関節の可動域が少しずつ広がり、歩き始めの痛みが軽くなっていきました。初回の施術後は、慣れない強さの刺激に「思ったより響きました」と少し驚かれていましたが、翌日以降の重だるさが落ち着いてくる頃には「昨日より脚が軽い気がする」と話してくれるようになりました。回数を重ねるごとに、股関節を大きく動かす動作への抵抗感が減っていったのが印象的でした。

その後の変化

数ヶ月後、その患者さんは「長く歩いても足を引きずらなくなった」「階段が怖くなくなった」と話してくれました。軟骨のすり減り自体が元に戻るわけではありませんが、周囲の筋肉が柔らかくなり、関節の動きがスムーズになったことで、痛みと動きにくさが大きく変わったのです。「手術は仕方ないと思っていたけど、選択肢が増えた気がする」という言葉が印象に残っています。もちろん変形の程度によっては手術が必要になるケースもあり、当院での施術がすべての方に同じ結果をもたらすと約束することはできません。それでも「骨の変形=もう何もできない」ではなく、周囲の筋肉というもう一つのアプローチ先があることを、この患者さんとの経過を通して改めて実感しました。

初めての方によく聞かれること

  • Q. 骨が変形しているのに鍼で意味があるのですか? A. 骨の変形自体は元に戻りませんが、周囲の筋肉の硬さが痛みや動きにくさを増幅させているケースが多く、そこにアプローチすることで症状が和らぐことがあります。
  • Q. 股関節の奥まで鍼が届くのですか? A. 長い鍼を使い、うつ伏せや仰向けなど筋肉ごとに適した体位で、腸腰筋や深層外旋六筋の深さまで届かせるよう角度を調整しています。
  • Q. 手術を勧められていますが、それでも施術を受ける意味はありますか? A. 手術までの期間の症状緩和や、術後の周囲筋のケアとして通われる方もいらっしゃいます。まずは今の状態をご相談ください。

自宅でできるセルフケア

  • 腸腰筋ストレッチ:片膝立ちになり、後ろ足の付け根を前に押し出すように体重をかけます。股関節前面の伸びを感じながら20〜30秒キープ。
  • お尻のストレッチ:仰向けで片足を反対の膝の上に乗せ、両手で太ももを抱えて胸に引き寄せます。深層外旋六筋がじんわり伸びるのを感じながら呼吸を続けましょう。

ただしセルフケアで届くのは表層まで。長年の変形性股関節症で硬くなった深層筋には限界があるので、無理をせず専門的な施術も検討してください。

那覇・首里で股関節の痛みにお悩みの方へ

北京堂鍼灸首里いじゅ治療院は、那覇市首里で長く太い鍼を使った深層筋鍼治療を専門にしている鍼灸院です。院長の伊集和重は鍼灸師歴18年、施術回数3万5000回以上。北京堂浅野式の考え方をもとに、結果にこだわった施術を行っています。那覇市内はもちろん、浦添・宜野湾・糸満・豊見城からもご来院いただいています。「診断されたから仕方ない」とあきらめる前に、周囲の筋肉から変えられることがないか、一度ご相談ください。今回ご紹介した患者さんのように、生活の中の何気ない癖が股関節の負担につながっていることも多いので、普段の姿勢や車の運転時間なども気軽に教えてくださいね。ハッキリ言うと、股関節は一人ひとり癖も硬さの出方も違います。だからこそ、この記事の内容がそのまま当てはまるとは限りませんが、ひとつの可能性として頭の片隅に置いていただけたらと思います。

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